アンケート回答者へ謝礼を送ることは、回答数・回答率の向上に効果的です。謝礼の景品を決める際は、ターゲット層やアンケートの内容に見合ったものを選ぶことが大切です。本記事では、アンケート謝礼の種類や相場、選び方について詳しく解説しています。
アンケート謝礼の形式
「アンケートを行うなら、謝礼を用意すべき?」 アンケートの実施について検討しており、このようにお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
アンケートに回答してもらったお礼として提供される報酬やインセンティブは「アンケート謝礼」と呼ばれ、以下のようにさまざまな形式があります。
- 現金
- ギフトカード
- ポイント
- クーポン
- eチケット
ただし、どれを選んでも効果的であるとは限りません。謝礼の種類や金額感は、調査内容や対象者に応じて異なるからです。そのため、以下のことを考慮しながら謝礼の内容を考えることが大切です。
- 予算の設定金額
- 対象者
- 配布のタイミング
- 謝礼品の受け渡し方法
適切でない謝礼を選んでしまうと、アンケートの結果やデータの信頼性にも大きな影響を与えてしまいます。一方で、適切に運用できれば、例えば次のような結果につながることもあります。
● LIFULL様/LINEキャンペーンでのアンケート回答数が目標の120%を達成
● セキスイハイム東北様/展示会来場者へのアンケート施策で新規顧客数が増加
● ニトリ労働組合様/社内アンケートの回答数、目標1万件に対し、110%の回答率を達成
本記事では、謝礼の種類や金額の相場、適切な謝礼を選ぶためのポイントについて詳しく解説します。事例も紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
アンケート謝礼の選び方
アンケート謝礼を決める際には、以下の順番で進めるとスムーズに謝礼の内容を決められます。
- 予算を決める
- 対象者を決める
- 配布のタイミングを決める
- 謝礼品を決める
では、選び方について順に見ていきましょう。
予算を決める
アンケート謝礼を選ぶ際には、まず予算を設定しましょう。予算が決まると、選べる謝礼の範囲が明確になります。以下を考慮しながら、予算を決めていきましょう。
- アンケートの規模
- 対象人数
- 調査の目的
予算を決める際には、まずアンケートの実施にかかる費用を細かく見積もります。そのうえで上記を考慮しながらインセンティブのバランスを考えましょう。
対象者を決める
謝礼の提供は、必ずしも全回答者を対象とする必要はありません。一般的に以下の2パターンがあります。
- アンケートの回答者全員に謝礼を提供する
- 抽選で一部の回答者に提供する
では、全員に提供する場合と抽選方式にする場合のメリットや懸念点について、詳しく見ていきましょう。
◆全員に謝礼を提供する場合
全員に対して謝礼を提供する場合、以下のメリットと懸念点が挙げられます。
まず、回答者は確実に報酬を受け取れるとわかっているため、回答するモチベーションが高まります。そのため、回答“率”が向上できるというメリットがあるのです。
ただし、1ユーザーが2回以上の回答を行った場合、謝礼も回答した分だけ提供することになります。例えば、2回答したユーザーに対しては、謝礼も2つ提供するということです。
これでは、回答内容は1人分なのに対して、謝礼は複数人分を提供することになるため、予算が無駄になってしまいます。そのため、重複ユーザーを排除する仕組みが必要です。
◆抽選方式の場合
抽選方式で謝礼を提供する場合、以下のメリットと懸念点が挙げられます。
まず、全員に対して謝礼を用意する必要がない分、魅力的な謝礼や高額な謝礼を用意しやすくなります。これらがユーザーの目を引き、回答“数”を増やしやすいというメリットがあります。
また、全員に謝礼を提供する場合は、予算の都合上で参加者に上限を設けなくてはなりませんが、抽選であれば何人参加してもかかるコストは変わりません。そのため、上限を設ける必要がなく、サンプル数を増やしやすいというメリットがあります。
懸念点としては、抽選管理が複雑であり、全員に謝礼を提供する場合と同様に複数回答が発生する可能性があるという点です。ただし、複数回答に関しては、全体のサンプル数に対する影響が少ない場合も多く、抽選であることから予算の無駄もないため、全員に謝礼を提供する場合ほど厳密に排除する必要はないでしょう。
▼ 抽選方式で謝礼を提供するのが向いているパターン
以下のような、ユーザー情報の収集や多くの参加者を募りたいアンケートに向いている
- 新商品のプロモーション
- イベント参加者アンケート
配布のタイミングを決める
アンケート謝礼は、渡すタイミングにも以下の2パターンがあります。
- アンケート回答後すぐに渡す
- 後日配送する
では、タイミングごとのメリットと懸念点について、詳しく見ていきましょう。
◆アンケート回答後にすぐ渡す(即時提供)場合
即時提供で謝礼を提供する場合、以下のメリットと懸念点が挙げられます。
アンケート回答後すぐに渡す場合は、その場で謝礼が受け取れることから、回答のモチベーションを高めやすく、回答率を向上しやすいというメリットがあります。例えば、オンラインアンケートでは、回答後すぐにデジタルギフトカードやポイントが配布されるケースが一般的です。
また、その場で謝礼を提供するため、配送料などが不要です。
しかし、アンケートに回答する時点で謝礼を用意していなければならず、在庫管理が必要となります。さらに、即時提供かつ抽選形態の場合はスピード感が求められるため、即時抽選ツールなどの導入が必要です。
▼ 即時提供が向いているパターン
以下のような、迅速なフィードバックが求められる調査、その場で応えやすいアンケートに向いている
- 顧客満足度調査
- トレンド分析
- 展示会後のアンケート
◆後日配送する(後日提供)場合
後日提供で謝礼を提供する場合、以下のメリットと懸念点が挙げられます。
後日謝礼を提供する場合は、回答者に順次ギフトを送れば良いので、用意すべき謝礼の数が明確なため、余剰在庫が発生しません。後日配送という形式は、参加者に「しっかりとした対価を得るためには、しっかりとした回答をしよう」という心理を生じやすくします。即時の報酬を期待できないため、参加者は「時間をかけて誠実に回答することが、後での報酬にふさわしい行動」と感じることが多いです。
しかし、その場で受け取れないことで回答者のモチベーションが下がり、回答率が低下するリスクがあります。また、梱包や発送といった手間や、配送料などのコストもかかります。また、後日配送するための個人情報の取得が必要になり、個人情報を適切に管理しなければ、情報漏洩のリスクにもなりえます。
▼ 後日配送が向いているパターン
- 謝礼が高額の場合
- オンライン調査
- 全国規模で実施されるアンケート
どちらの方法を選ぶかは、調査の性質や対象者のニーズ、謝礼品に合わせて検討する必要があるでしょう。
謝礼品を決める
謝礼品はさまざまなものがありますが、大きく分けると以下の2種類に分類できます。
- デジタルギフト
- 現物の商品
では、謝礼品ごとのメリットと懸念点について、詳しく見ていきましょう。
◆デジタルギフト
デジタルギフトをはじめとするデジタル形式の謝礼は、特にオンライン調査で多く利用されます。一般的に、以下のようなものがデジタルギフトとして提供されています。
- 電子ギフトカード
- ポイント
- クーポンコード
まず、デジタルギフトの場合です。デジタルギフトは即時提供でき、なおかつ在庫がないため管理も簡単で、回答者も受け取りやすいという利点があります。ただし、受け取りにPCやスマートフォンが必要で、なおかつそれらを操作できなければ、受け取りが難しいです。そのため、対象が高齢者の場合は、デジタルギフトよりも現物の方が良いでしょう。
◆現物の商品
現物の謝礼には以下のようなものがあります。
- 商品券
- ギフトカード
- 実際の製品
高額商品や限定品であることが多い現物は、高い満足感を得られる可能性があります。例えば、抽選による高額な家庭用ゲーム機の提供や、モニター調査による自社の新製品の提供などが当てはまります。
ただし、商品の配送に手間やコストがかかり、手続きは煩雑になりやすいという特徴があります。また、参加者の好みに合わない謝礼を用意してしまうと、参加数の低迷や不満が出てしまう可能性があります。
◆ターゲットに合わせた謝礼を考えよう
デジタルギフトか現物かだけでなく、別の視点として「各回答者の好みにどの程度対応するか」も重要です。
例えば自分の好みに合う謝礼を選べるようにすると、個々の回答者に特別な体験やアイテムを提供できるため、より高い満足度を引き出せます。しかし、コストや手間がかかるため、選定には慎重にならなくてはなりません。
全員に同一の謝礼を提供する場合、コストは低く抑えやすく謝礼の管理も容易なため、大規模な調査に適していますが、個別のニーズに応えにくいというデメリットもあります。
謝礼は、ターゲット層の特性やアンケートの目的に応じて、慎重に検討することが重要です。このように謝礼を選んでいくことで、よりアンケートの回答率を向上させましょう。
アンケート謝礼の相場
具体的な謝礼を決める前に、アンケート謝礼の相場を理解しておくことが大切です。相場を把握していることで、適切な予算設定ができます。
謝礼の相場は、次の要素によって異なります。
- アンケートの形式
- 回答時間の長さ
- 参加難易度
それぞれの違いを解説しますので、参考にしてください。
アンケート形式による違い
アンケート形式には、Web・郵送・トライアルなど、さまざまな形式があります。どの形式でアンケートを行うかによって、謝礼の相場は変わりますが、平均的な謝礼額は500円が理想的と言われています。
ギフティの過去のデータをもとにした金額レンジのTop3は以下の通りです。
1位:300円〜500円
2位:100円〜200円
3位:700円〜1,000円
スマホで完結できて比較的手軽に参加できるオンラインアンケートや、来場してもらわなくてはならないことから、参加に時間や労力がかかるアンケートもあります。その参加難易度によっても相場は異なり、アンケートへの参加が手軽であるほど謝礼は低く、難易度が高いほど謝礼は高くなります。
回答時間の長さ(アンケートの量)による違い
アンケートの回答にかかる時間が長くなるほど、謝礼の金額も高くなる傾向があります。
たとえば、Webアンケートで10円の謝礼を設定していたとして、回答に10分、20分かかってしまえば「割に合わない」と感じられてしまい、回答してもらえなかったり、途中で離脱されてしまう可能性があります。そのため、回答時間の長さを考慮することが大切です。
理想的な回答時間は5分以内で設問数は10〜20問が目安です。ただし、2択形式などの簡単な質問であれば、100問以上でも問題ないでしょう。逆に、記述式や全問解答必須のアンケートでは、設問数が少なくても負担が大きくなるため、高額な謝礼を設定する必要があるかもしれません。
あらかじめご自身で試しにアンケートに答えてみて、回答にどれくらいの時間がかかるのかを把握しておき、謝礼の金額を検討しましょう。
業界別の謝礼設定の工夫
なお、余談ですが、金融や不動産業界のように高単価商品を扱う業界では、顧客の信頼を得て成約に結びつけるために、アンケートを顧客との重要な接点として活用しています。
例えば、マンションや保険の契約に関連するアンケートでは、謝礼として数千円〜1万円相当のギフトカードや高級商品の提供が行われることがあります。これは、顧客がアンケートに真剣に回答するよう促し、その後の商談や成約につなげる狙いがあります。一方で、謝礼を200円程度に抑える代わりに、成約や次回利用時に高額なインセンティブを設定する手法が取られることもあります。
このように、業界や商材の特性に応じて謝礼の金額やタイミングを調整することが、顧客の満足度向上と成約を増やすポイントとなっています。
アンケート謝礼を選ぶ際の3つのポイント
適切な謝礼を選ぶためには、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 過剰な謝礼による回答の偏りを防ごう
- ターゲット層に合わせて謝礼を選定しよう
- 調査の透明性を確保しよう
では、これらのポイントについて、詳しく解説します。
過剰な謝礼による回答の偏りを防ごう
高額な謝礼を用意すれば、より多く回答してもらえるのでは?とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、謝礼は相場に合わせて適切に設定することが大切です。
なぜなら、高額なギフトカードや現金を謝礼として提供すると「報酬目当て」の参加が増える可能性があるからです。すると、回答者が調査の本来の目的に合わない回答をするリスクが高まります。
これにより回答が偏ってしまい、データの信頼性が低下する恐れがあります。
【対策】
「アンケート謝礼の相場」で解説したように、調査の目的や難易度に見合った適切な金額に設定することが大切です。報酬がインセンティブとして働きつつも、回答に過度な影響を与えないように調整しましょう。
ターゲット層に合わせた謝礼を選定しよう
ターゲット層はどのような人物なのか、どのようなものが好まれるかを事前に把握し、それに合わせて謝礼を選定しましょう。
ターゲット層の好みや生活スタイルに合わない謝礼を提供すると、回答率や回答の質が低下する恐れがあります。たとえば、ターゲットは40代なのに、流行っているからといって20代に喜ばれる謝礼を用意しても、ターゲットには回答してもらえない可能性が高くなるでしょう。
【対策】
事前にターゲット層の特性や好みを把握し、その層にとって魅力的な謝礼を選ぶことが重要です。また、謝礼を複数用意して、回答者が自分の好みに合うものを選べるようにするのも効果的でしょう。
調査の透明性を確保しよう
アンケートに回答するということは、自分の情報を提供するのと同じことです。そのため、アンケートの目的や謝礼の理由が明確になっていないと「この回答はなにに使われるのかわからなくて心配」といったように、回答者の調査に対する信頼感が低くなってしまうでしょう。
その結果、適当に答えるなど、誠実な回答を得にくくなります。
【対策】
アンケートの冒頭で、調査の目的や得られる情報の使い方、謝礼の提供理由を明確に説明し、透明性を提示するのです。また、個人情報の取り扱いについても、しっかりとした説明を行い、回答者が安心して参加できる環境を整えることが肝要です。
appendix/景表法に注意
アンケートで謝礼を提供する場合、その目的やギフトの内容によっては「景品表示法(景表法)」の規制対象になることがあります。その場合、提供する謝礼の金額に制限がかかるので、ご注意ください。
景表法の規制対象となるか否かは、アンケートが「取引に付随するか」がポイントです。商品の購入やサービスの利用、来店の誘引手段としてアンケートが用いられていると考えられる場合、対象となることがあります。
たとえば、500円の商品を購入し、その場でアンケート回答した全員に1,000円分の景品を提供する場合は、総付(そうづけ)景品(※)の規制の対象となる可能性が高いです。保険業界など、業界によっては景品の提供に関するルールが別途存在する場合がありますので、アンケート謝礼を用意するときは、自社が属する業界のルールも確認しておきましょう。
※一般消費者に対して懸賞によらないで提供する景品のこと
各法律に関しては、以下の記事でより詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。
・保険業法とは?保険キャンペーンにおけるギフトの規制ルールを解説! NGとされる条件や使用できる商品例も
・プレゼントキャンペーン担当者が知っておきたい「景品表示法(景表法)」をわかりやすく解説
なお、景表法に関する内容はあくまで株式会社ギフティとしての見解であり、法令の解釈に適合していることを保証するものではなく、こちらの内容に基づいて被ったいかなる損害についてもギフティは一切責任を負いません。また、ギフトのプレゼントや使用に関する最終判断は、キャンペーン実施企業様に委ねています。
アンケート謝礼にデジタルギフトを活用した成功事例
ここまで、アンケート謝礼の選び方や相場について解説してきました。最後に、読者の皆さんによりイメージしていただけるよう、giftee for Businessを使ってアンケート施策を実施された企業様の事例を紹介します。
即座にギフトが当たるキャンペーンでアンケート回答数、目標の120%を達成
株式会社LIFULL様は、住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」を運営している企業です。
LINE公式アカウントを開設しており、友だち登録をしているユーザーに向けてアンケートを送信し、回答した直後に抽選でギフトがあたるキャンペーンを実施しました。
アンケートLPのURLを複数の方法でユーザーに送付し、LPに遷移、回答してもらうと、giftee for Businessの「LINE IDの認証システム」で回答者が識別され、即時で抽選が開始される仕様に。当選者には、その場でAmazonギフト券のコードが記載されたギフトが発行されました。
LIFULL様のLINEキャンペーンの画面遷移イメージ
その結果、2週間でアンケート回答数が目標の120%を達成。さらに、認証システムなどを利用することで、開発工数の削減、問い合わせ窓口の負荷軽減にもつながりました。
展示場来場&アンケート回答者へギフト配布で新規顧客増を達成
セキスイハイム東北株式会社様は、建設業や不動産業などを行っていらっしゃる企業です。
同社は、お正月期間に東北全エリアのセキスイハイム展示場や分譲住宅に来場し、アンケートに回答された方を対象に、抽選で「giftee Box(※)」を含むさまざまなギフトをプレゼントをするキャンペーンを実施しました。
※約1,000種類のラインナップの中から、好きな商品を自由にえらべるgiftee for Businessのデジタルギフト
セキスイハイム東北様のキャンペーンチラシ
対面配布システムの「giftee Direct」を利用し、展示場や分譲住宅に来場した人だけがキャンペーンに参加し、当選した回答者にその場でギフトを渡せるようにしたことで、現場ですべて完結できるようにしました。
その結果、ホームページからの新規顧客獲得数が前年比145%となり、年始の目標を112%達成しました。また、運用工数の削減にもつながりました。
まとめ
この記事では、アンケート謝礼の選び方や相場について解説してきました。最後にお伝えしたいのが「アンケート謝礼はアンケート形式やターゲットに合わせて適切な金額のものを用意することが大切」ということです。適切な商品選びのためにも、以下のポイントを意識してください。
◆謝礼の選び方
- 予算を決める
- 対象者を決める
- 配布のタイミングを決める
- 謝礼品を決める
◆アンケート謝礼の相場(相場は以下の要素によって異なる)
- アンケートの形式
- 回答時間の長さ
- 参加難易度
◆アンケート謝礼を選ぶポイント
- 過剰な謝礼による回答の偏りを防ぐ
- ターゲット層に合わせて謝礼を選定する
- 調査の透明性を確保する
アンケート謝礼は、少なすぎれば思うようにサンプル数が集まらず、過剰だと回答が偏る可能性があります。そのため、相場を理解したうえで予算やターゲットを考慮し、適切な謝礼を選びましょう。