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2026/06/17

株主総会のお土産はどうする?最新動向と選び方・新しい代替案

株主総会 お土産

今年の株主総会で、お土産をどうするか決めかねていませんか。

長年続けてきたものの、継続する理由を説明しづらい。一度やめたが「今年はないのか」と株主から聞かれて判断に迷う。バーチャル併用型に移行したことで、来場者だけに配るべきか悩んでいる。株主総会のお土産をめぐっては、多くの企業が同じ課題を抱えています。

株主総会のお土産は、「配るか・やめるか」の二択で考えると毎年同じ議論を繰り返すことになります。本記事では、お土産をめぐる最新の動向を整理したうえで「配る・やめる・形を変える」を判断するための3つの軸、注意点、そして来場に依存しない新しい代替案(事前議決権行使のインセンティブ)までを解説します。来年以降も使える、自社なりの判断の型をつくる材料にしてみてください。

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株主総会のお土産はいま|中止の広がりと見直しの動き

株主総会のお土産(総会みやげ)は、来場した株主への感謝のしるしとして、自社製品や菓子折りなどを配る慣行として広がってきました。お土産を楽しみに毎年足を運ぶ個人株主も多く、来場促進の役割も果たしてきた施策です。

この慣行は、新型コロナウイルスの感染拡大を機に大きく変わりました。来場自体を抑制する必要から、多くの上場企業がお土産の配布を取りやめ、その後もバーチャル総会・ハイブリッド型総会の普及や、公平性への配慮を理由に、中止を続ける企業が多数派になっています。

一方で、株主との対面の関係づくりを重視する企業や、自社製品に触れてもらう機会と位置づける企業を中心に、形を変えて見直す動きも出ています。例えば、来場者向けのお土産を廃止する代わりに、事前に議決権を行使した株主を対象としたインセンティブ施策を実施する企業もあります。従来のお土産を続けるかやめるかではなく、目的に合わせて方法を見直す企業が増えているのです。

この揺れ戻しの背景には、総会の開催形式の変化があります。バーチャル併用型(ハイブリッド型)が広がったことで、来場する株主はより少数の、意思を持って足を運ぶ層になりました。その少数の来場者への対応と、オンラインで参加する多数の株主への公平性をどう両立するか。お土産のあり方は、総会運営全体の方針とも切り離せないテーマになっています。

つまりいまは、配るのが当たり前でもやめるのが当たり前でもなく、各社が自社の方針として判断する時期に入っています。だからこそ、判断の軸を持つことが大切になります。

お土産を「配る・やめる・形を変える」判断の3軸

お土産の継続可否は、慣例や他社動向だけで決めると毎年揺れます。次の3つの軸で自社の状況を整理すると、社内で説明できる判断になります。

判断軸

確認すること

判断の方向性

株主構成と来場実態

来場するのは誰か・何人か

来場者が株主全体のごく一部なら「来場者限定の配布」の意義は薄い

配る目的

感謝の表明か・来場促進か・自社製品の体験か

目的によって最適な形(品物/体験/別施策)が変わる

運営の負担と費用

調達・在庫・当日の配布動線・余剰の処理

負担に見合う効果を説明できるか

株主構成と来場実態|「誰に感謝を伝えたいのか」から考える

来場株主が株主全体の数%にとどまる場合、お土産は来場できる一部の株主だけが受け取れるものになります。遠方の株主や機関投資家には届かないため、感謝の表明が目的なら、来場者限定のお土産は手段として釣り合っていない可能性があります。逆に、株主の多くが来場できる環境なら、対面で手渡しをする価値は残ります。

判断の材料として、直近3年の株主数に対する来場者の割合と来場株主の顔ぶれ(毎年同じ方か、入れ替わっているか)を出してみてください。数字にすると、お土産が誰に届いている施策なのかが一目で分かり、社内の議論が感覚論から離れます。

配る目的|感謝・来場促進・製品体験で答えが変わる

感謝の表明が目的なら、来場の有無で差をつけない形(全株主向けの施策)が筋に合います。来場促進が目的なら、そもそも来場を増やしたいのか、議決権行使を増やしたいのかを分けて考える必要があります。総会の成立と議案の可決に直結するのは行使率であり、来場者数そのものではありません。自社製品の体験が目的なら、お土産は販促サンプリングに近く、製品を持つメーカーには合理的な選択です。

社内で意見が割れるときは、たいてい関係者ごとに想定している目的が違います。総務は運営の負担を、IRは株主との関係を、経営層は費用対効果を見ています。目的を一つに絞って文字にするだけで、議論は大きく前に進みます。

運営の負担と費用|見えにくい実務まで含めて見積もる

お土産には、品物代のほかに、数量の読み(来場予測)、在庫の保管、当日の配布人員、余った場合の処理といった実務が伴います。来場者数は天候や議案によって変動するため、毎年足りない・余るのリスクを抱えることになります。この負担を、得られる効果と並べて説明できるかが、継続判断の現実的な基準です。

この3つの軸で整理すると、お土産を続けるべきか、見直すべきかが見えてきます。

配るなら何を選ぶ?定番のお土産

お土産に正解はありません。大切なのは、株主構成や配る目的に合ったものを選ぶことです。選択肢は、大きく4タイプに整理できます。

タイプ

特徴

自社製品

食品・日用品メーカーの主力商品

製品体験と感謝を同時に伝えやすい

菓子折り・銘菓

有名ブランドの焼き菓子など

幅広い株主に受け入れられやすい

日用品・実用品

タオル・洗剤など

実用性が高く持ち帰りやすい

金券・デジタルギフト

ギフトカード・電子ギフト

受け取り手が使い道を選べる

自社製品|製品体験と感謝を兼ねる第一候補

食品・飲料・日用品などのメーカーであれば、自社製品が最も筋の良い選択です。株主に製品を直接体験してもらう機会になり、自社の商品やブランドへの理解を深めてもらうきっかけにもなります。新商品を入れて「株主が最初に試せる」という特別感を演出する企業もあります。配る理由を社内外に説明しやすいのも、このタイプの強みです。

菓子折り・銘菓|無難で外さない定番

有名ブランドの焼き菓子などは、好みが分かれにくく外さない定番です。何を選べばよいか迷ったときの定番として採用されることも少なくありません。

一方で、どの会社のお土産でも成立する品なので、自社を思い出してもらう効果は限定的です。のしや包装に社名を入れる、自社にゆかりのある地域の銘菓を選ぶなど、ひと工夫でらしさを補えます。

日用品・実用品|使いやすさと持ち帰りやすさを重視

タオルや洗剤などの実用品は、誰の生活にも取り入れやすいことから選ばれてきた定番です。公共交通機関で来場する株主が多い場合は、重すぎないか、かさばらないかといった視点も考慮したいところです。

金券・デジタルギフト|幅広いニーズに対応しやすい

製品が法人向けで配りにくい業種や、株主の年代・好みが幅広い場合は、ギフトカードやデジタルギフトも選択肢になります。受け取り手が使い道を選べるため、特定の商品では好みが分かれそうな場合にも活用しやすい方法です。デジタル型であれば、来場者への配布だけでなく、後日送付する形にも対応しやすく、数量調整の柔軟性という面でもメリットがあります。

どの種類が優れているということではなく、何のために配るのかという目的に合っているかどうかです。前章で整理した目的に立ち返りながら選ぶことで、自社に合ったお土産を選びやすくなります。

お土産を用意するときの3つの注意点

お土産は感謝のしるしである一方、配り方を誤ると株主間の不公平感や制度上の問題につながります。次の3点を押さえてください。

来場者と非来場者の公平性

ハイブリッド型総会では、オンライン参加の株主や議決権を書面で行使した株主には、来場者向けのお土産が届きません。「来場した人だけが得をする」状態は、株主平等の観点から社内外で指摘を受けやすいポイントです。お土産を続ける場合も、「なぜ来場者に配るのか」(交通費をかけて足を運んだことへの謝意など)を整理しておくと説明がぶれません。

利益供与にあたらない範囲で

会社法は、株主の権利行使に関する財産上の利益の供与を禁じています。社会通念上相当な範囲の手土産であれば一般に問題ないとされていますが、高額な品や、議決権の行使内容と引き換えにするような設計は避けるべき領域です。金額の節度と、「行使の内容に関係なく一律」という設計を守り、あわせて景品表示法(総付景品や懸賞の限度額規制)の範囲内に収まっているかも確認が必要です。判断に迷う場合は法務・株主名簿管理人に確認してください。

参考:会社法 | e-Gov 法令検索

持ち帰りやすさへの配慮

公共交通機関で来場する株主が多いため、重い・かさばる・要冷蔵といった品は負担になります。会場出口での手渡し動線も含めて、受け取る側の帰り道を想像して選ぶと、感謝のしるしが逆効果になることを防げます。

ここまでが「配る」場合の設計です。次章では、来場に依存しない第三の選択肢を紹介します。

来場に代わる新しい形|事前議決権行使のインセンティブ

お土産の議論で見落とされがちなのは、「そもそも何のために配ってきたのか」です。バーチャル化が進んだ現在では、来場者数だけでなく、議決権行使を含めた株主参加全体をどう促すかという視点も重要になっています。

こうした考え方から、事前に議決権を行使した株主に対して、抽選または全員に少額のギフトを提供する取り組みも見られるようになっています。来場の有無にかかわらず対象にできるため、従来のお土産とは異なるアプローチとして検討されています。

お土産からこの形に切り替えると、3つの変化があります。

対象を来場者から全株主へ広げられる

地方や海外の株主、当日都合がつかない株主も対象にできるため、来場者限定のお土産が抱えていた公平性の課題に対応しやすくなります。

議決権行使の促進につなげられる

感謝のしるしとして品物を配るだけでなく、議決権行使という行動を後押しする施策として位置づけられます。行使率は数値で把握できるため、施策の効果を振り返りやすい点も特徴です。

運営の負担が軽くなる

デジタルギフトを活用すれば、品物の調達や在庫管理、当日の配布対応が不要になります。来場者数の予測や余剰在庫への対応といった、お土産特有の運営負担を減らしやすくなります。

なお、こうした施策を実施する場合も、議決権行使の内容に関係なく一律の条件で実施することや、社会通念上相当な範囲の金額にとどめることが重要です。判断に迷う場合は、法務部門や株主名簿管理人への確認をおすすめします。

実施方法は企業ごとに異なりますが、招集通知やお礼状を活用して案内し、対象株主へギフトを届ける形が一般的です。

次章では、実際に事前議決権行使のインセンティブを導入した企業事例を紹介します。

株主総会でデジタルギフトを活用した事例

ここからは、事前議決権行使のインセンティブを実際に導入した2社の事例を紹介します。いずれも、来場者へのお土産ではなく、株主参加の促進を目的とした取り組みです。実際にどのような設計で運用されているのかを見ていきましょう。

Nexus Bank株式会社様|事前行使が前年比30%増

Nexus Bank株式会社様は、感染拡大防止の観点から来場ではなく事前の議決権行使を株主に促すため、書面またはオンラインで事前行使した株主にAmazonギフト券500円分を贈る施策を実施されました。お礼状に記載したQRコード・URLから受け取れる形で、システム開発は不要です。

結果、事前の議決権行使割合は前年比30%増。物理的な景品の在庫や株主ごとの郵送が不要になり、運営費用の削減にもつながっています。

▼この事例の詳細はこちら

グリー株式会社様|数種類のお土産準備から「選べる1つ」へ

グリー株式会社様は、株主総会招集通知にキャンペーンのリーフレットを同封し、議決権行使専用サイトで事前行使のうえアンケートに回答した株主から、抽選で20人に1人に「giftee Box」500円分をメールで贈る設計を採用されました。

従来は株主の幅広いニーズに応えるため数種類のギフトを用意していましたが、受け取った株主が1,000種類以上から自分で選べる形にしたことで、複数の品物を準備する手間がなくなりました。年代も性別も異なる株主への「外さない贈り方」と運営の効率化を両立した事例です。

▼この事例の詳細はこちら

両事例に共通しているのは、来場者へのお土産ではなく、議決権行使を行った株主を対象にしている点です。

お土産を配るかどうかではなく、株主参加をどう促すかという視点で設計することで、公平性への配慮と運営の効率化を両立しています。こうした取り組みは、株主総会のお土産を見直す際の選択肢の一つになるでしょう。

株主総会のお土産のよくある質問

ここでは株主総会のお土産を設計するにあたって、よくある質問をQ&A形式でまとめました。これからの導入や運用の変更を検討されている方は、ぜひお役立てください。

Q.オンライン(バーチャル)総会では、お土産はどうすればいいですか?

来場が前提のお土産は配れないため、全株主向けの形に切り替えるのが自然です。事前議決権行使のインセンティブや、決算説明資料とあわせたデジタルギフトの送付など、来場に依存しない形が選択肢になります。

Q.お土産の代わりに株主優待を拡充するのは、ありですか?

選択肢の一つです。優待は保有株数に応じて全株主に届くため、来場者限定のお土産より公平性の面で筋が通ります。

ただし優待は一度設計すると毎年の継続費用になり、変更・廃止時の影響も大きい制度です。お土産の予算をそのまま優待に付け替えるのではなく、株主への還元全体をどう設計するかの中で位置づけてください。優待のデジタル化も含めた設計は、株主優待の電子化の記事で詳しく解説しています。

Q.お土産をやめる場合、株主にはどう案内すればいいですか?

招集通知や自社サイトで、事前に明記しておくのが基本です。「お土産の配布は行いません」の一文だけでなく「株主への還元は配当・優待で行う方針です」「全株主を対象とした取り組みに切り替えます」のように、やめる理由と代わりの方針をセットで伝えると、来場株主の落胆や当日の問い合わせを減らせます。長年配ってきた法人ほど、移行年の丁寧な案内が効きます。

まとめ|お土産は目的に合った形を選ぶ

株主総会のお土産を取り巻く環境は大きく変化しています。かつては来場者への感謝のしるしとして定着していましたが、バーチャル総会やハイブリッド型総会の普及により、来場者だけに配ることの意味や公平性が改めて問われるようになりました。

そのため、他社が配っているかどうかで判断するのではなく、自社の株主構成や総会運営の方針に照らして考えることが重要です。来場株主との接点づくりを重視するならお土産を続ける選択もありますし、より幅広い株主との関係づくりを重視するなら別の方法が適している場合もあります。

大切なのは、お土産を続けること自体を目的にしないことです。誰に感謝を伝えたいのか、何を後押ししたいのか。その目的を整理することで、自社に合った選択肢が見えてきます。

今年のお土産をどうするか迷ったときは、配るか、やめるかではなく、どの形が目的に合っているかという視点から検討してみてはいかがでしょうか。慣例として続けるか迷ったときこそ、目的に立ち返って設計し直すきっかけです。自社の株主構成に合った感謝の形を、今年の総会から検討してみてはいかがでしょうか。

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