経済産業省が主導する節電プログラムにおいて、ディマンド・リスポンスシステムとgiftee Boxを採用。電力需給逼迫過多対策と同時に、自社のポータルサイトへの誘導に成功
千葉県で電気を供給している大多喜ガスでは、冬場の電力需給バランス確保のために「節電チャレンジプログラム」を行いました。朝・夕を中心とする電力需要のピークタイムに多くの方に節電をしてもらうことで、電力の逼迫を防ぐ取り組みです。 ユーザーには参加申し込みを行った時点で2000円分のgiftee Boxをプレゼントし、さらに節電の成果に応じてギフトポイントも付与。効果的な節電を実行するための協力を仰ぎました。 この施策によって感じられた新しい可能性や顧客との接点について、経営企画部 経営企画グループの竹内隼さんと、永見優季さんにうかがいました。
ディマンド・リスポンス(DR)とは DRとは、電力の需給バランスを整えることを目的に、電力の逼迫が予想されるタイミングにおいて、電力小売事業者が節電依頼を行い、それに応じて消費者・法人が電力使用量を制御することを指します。
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漫然とした節電では意味がない。求められているのはピークタイムの需要に焦点を合わせた施策
改めて、貴社のサービスについて教えてください。
竹内さん:大多喜ガスは千葉県千葉市の一部、茂原市、八千代市、山武市、夷隅郡、長生郡などにガスを供給している事業者です。実は千葉県は天然ガスが産出されるので、お客様には地元のガスをお届けしているんですよ。電力自由化が始まってから2年後の2019年には電力の販売もスタート。より地域のお客様に寄り添い、便利で快適な暮らしのお手伝いをすることになりました。
経営企画部 経営企画グループ 竹内 隼さん
今回の節電プログラムの内容はどのようなものだったのですか?
竹内さん:節電にご協力いただけるという意思表示をしてくださった方全員にgiftee Box 2,000円分をプレゼント、さらに節電対象時間帯に節電を達成した方に対して追加でポイントを付与し、そのポイントをgiftee Boxと交換できるというものでした。未達に対してもペナルティなどは一切なく、楽しんで節電にご協力いただける施策になったと思います。
節電プログラムを始められたのには、どのような背景があったのですか?
竹内さん:再生可能エネルギー導入拡大等による火力発電所の休廃止や、ウクライナ情勢等により火力発電所で使う燃料調達が難航していることなどから、需要の多い時期は全国的に電気の供給量が足らず、需給がひっ迫する状況となっています。そこで、政府が小売電気事業者などへ向けて顧客に節電を呼びかけるよう要請があったのです。 しかし、漫然とした節電では何の意味もありません。冬の家庭用電力需要は朝と夕方にピークを迎え、それ以外の時間は比較的需給バランスはとれています。必要なのは、ピーク時の山を低くするための施策でした。そこで目をつけたのが、私たちが運営するポータルサイトをご利用されているお客様の行動です。 ポータルサイトにご登録いただいているお客様とはメールによるコミュニケーションが図れるため、節電をしてほしいタイミングで適切にお知らせをすることができます。節電プログラムはポータルサイト登録者のみお申し込みができる仕組みにすることで、効果的なアクションができるお客様に適切なアプローチをすることができました。
節電を評価する仕組みからギフティが構築
今回、ギフティが提供する節電DRシステムとgiftee Boxを採用された理由を教えてください。
竹内さん:節電プログラムでは、電力の需給バランスの確保を目的に、需要が多い時間帯に節電を促す必要があります。その際、節電に向けて行動変容を促すために、電気の利用を控えた方にインセンティブを付与します。 個々人の電気の利用状況を分析するには、ITだけでなく電力インフラに関する知識も必要で、また達成時にインセンティブとなるデジタルギフトも一貫して提供しているのはギフティだけでした。 弊社のガスをご利用いただいている世帯は17万軒ですが、電気のご利用世帯はそれよりはるかに少なく、インセンティブとしての自社ポイントプログラムも導入できておりません。自社で新たにシステム構築をするのは費用も労力も見合いません。 しかし、ギフティとmui Lab社にて共同開発したDRシステムの仕組みを使えば、一部の情報をつなげるだけで、しかも導入期間も1ヶ月半程度と簡単に政府の要請に適応した節電プログラムを実現できました。また、インセンティブとして採用したgiftee Boxはお客様の利便性も非常に高い。自社でポイントプログラムも運用したとしてもその使いみちは限られてしまうことが少なくありませんが、giftee Boxであればお客様がお好きなときに、多様な選択肢のなかから使いみちを選んでいただくことができます。
このシステムにおいて、特に優れていたと感じたのはどのような点でしたか?
竹内さん:お客様のご自宅に設置しているスマートメーターの計量値を使い、お客様ごと、30分単位で節電の基準となる量と実際の節電量を自動で算出する点です。本キャンペーンは節電をするタイミングによって獲得できる節電ポイント数が異なる仕組みになっていたのですが、これにより面倒な処理はなく、節電は自動的に評価できるようになっていました。
安心なだけでなく、新しく楽しいことをしている大多喜ガスのイメージに
お客様からの反応にはどのようなものがありましたか?
竹内さん:節電プログラムの開始からまもなく当初の想定を上回る申し込みがあり、驚きました。というのも実は検針のタイミングでチラシをポスティングするぐらいのお知らせしかしていなかったんですよ。 お客様には、今回の施策によって、大多喜ガスが何か新しいこと、面白いことにもチャレンジしていることを感じていただけたらうれしいですね。DXにも前向きに取り組んでいることを知っていただき、安心感だけでなく新しさや面白さも感じてもらえたらと思います。
永見さん:さらなる反応はこれから集まってくると思います。私は日々お申込みいただいたお客様の対応をさせていただいているのですが、大多喜ガスへの新しい期待を感じます。
経営企画部 経営企画グループ 永見 優季さん
その他、今回の節電プログラムよってもたらされたメリットはありましたか?
竹内さん:私たちのような電気小売事業者は、発電所や市場などから電力を仕入れて販売するわけですが、特に市場からの仕入れ価格は電力の需要によって大きく変わります。電力があまりにも逼迫しているときには、販売価格よりも仕入れ価格の方が高くなってしまうこともあるくらいです。そのため、ピーク時の需要減は企業の利益に直結。経営的に大きな意味を持ちます。
今後、ギフティのサービスをどのように活用していきたいとお考えですか?
永見さん:デジタルギフト「giftee Box」という観点では、新たな営業ツールにできるのではないかと考えています。展示会に来ていただいた方にギフトをお渡ししてもいいですね。新たなサービス創出も前向きに検討していきたいと思います。
安定したサービス品質で地域のインフラを支えてきた大多喜ガス。新しさ、楽しさを感じられるキャンペーンはさらに地域に活力をもたらしていくことでしょう。これからの動きにも注目です。