特定商取引法をわかりやすく解説|キャンペーンで押さえるべきルールと注意点

魅力的なデジタルギフトを活用したプロモーションや、SNSを使った懸賞キャンペーンは、企業の認知拡大や売上増加にとても効果的です。しかし、インターネット上での案内(ホームページやSNS、メールなど)を通じて申し込みを受け付ける施策を行う場合、画面の書き方や情報の伝え方に注意しないと、思わぬ法令違反になってしまうことがあります。
特に、インターネットを通じて販売や申し込みを受け付ける際に深く関係してくるのが「特定商取引法(特商法)」という法律です。特商法のルールを守らずにキャンペーンを実施すると、国からの行政処分を受けたり、企業の信用が大きく傷ついたりするリスクがあります。
「自社のプレゼントキャンペーンは特商法の対象になるの?」「インターネットの画面には何を載せればいいの?」など、疑問を抱えている担当者の方も多いでしょう。
本記事では、特定商取引法の基本から、法人のマーケティング活動とどのように関係しているのか、そしてキャンペーンを実施する際に必ず押さえておくべき4つのルールと具体的な注意点まで、分かりやすく網羅的に解説します。安全で効果的なプロモーション活動を成功させるためのヒントとして、ぜひご活用ください。
※本記事の内容はあくまで株式会社ギフティ(以下ギフティ)としての見解であり、本記事の内容が法令の解釈に適合していることを保証するものではなく、本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害についてもギフティは一切責任を負いません。また、ギフトのプレゼントや使用に関する最終判断は、キャンペーン実施企業様に委ねています。
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特定商取引法とは|消費者を守るための法律
キャンペーンや販売促進の企画を立てる際、景品表示法と並んで意識しなければならないのが「特定商取引法(以下、特商法)」です。
特商法とは、消費者トラブルが生じやすい特定の取引を対象に、トラブルを未然に防ぎ、消費者の利益を守るために制定された法律です。1976年に施行されて以来、インターネットやSNSの普及といった時代の変化、オンライン取引の増加に伴って、何度も規制が強化されてきました。
特商法の主な目的は、違法な勧誘行為や、悪質な販売手法、不適切な表示によるトラブルを防止することにあります。法律による規制は、大きく分けて以下の3つの観点から行われています。
- 表示義務:事業者が広告や販売画面に載せるべき必須情報を定める
- 行為規制:不当な勧誘や、消費者を誤解させるような嘘の案内を禁止する
- 消費者を守る仕組み:一定の条件下で契約を解除できる仕組み(クーリング・オフなど)を設ける
企業が特商法に違反した場合には、消費者庁や各経済産業局などから、業務の改善を求める「業務改善指示」や、一定期間の営業を禁止する「業務停止命令」、場合によっては業務禁止命令といった厳しい行政処分が下されます。さらに、違反内容によっては罰金などの刑事罰が科されることもあります。
行政処分を受けた企業の名前は公表されるため、社会的な信用を失い、ブランドイメージが大きく失墜するリスクを伴います。そのため、キャンペーンを企画する段階から、特商法のルールを正しく頭に入れておく必要があります。
法人の販促施策にも関係する理由
「特商法は、ECサイトで商品を売る会社だけに関係がある法律だ」と思われているマーケティング担当者の方も少なくありません。しかし、それは誤解です。
一般の消費者を対象としたキャンペーンにおいて、インターネットの専用ページ(LP)やメール、SNSを通じて商品の購入やサービスの申し込みを受け付ける場合、その行為そのものが特商法の定めるルールに該当する可能性が十分にあります。
例えば、「商品を購入してくれた人にデジタルギフトをプレゼントする」といったキャンペーンを行う場合、消費者はインターネットの画面を見て購入を決めます。このように、画面を通じて申し込みを受け付ける導線が成立している場合、単にキャンペーンの景品を配るだけでなく、その取引全体に特商法が適用されることがあります。
特商法が対象にする7つの取引類型
特商法では、消費者トラブルが起きやすい取引として、以下の7つの類型を定めています。
取引類型 | 内容 |
|---|---|
訪問販売 | 自宅などに販売員が訪問して販売する |
通信販売 | 広告を見た消費者が申込を行う取引 |
電話勧誘販売 | 電話による勧誘を行い、申込みを受ける |
連鎖販売取引 | いわゆるマルチ商法 |
特定継続的役務提供 | 長期・継続的なサービス提供(エステティックサロン等) |
業務提供誘引販売取引 | 「仕事を提供するので収入を得られること」を口実に商品購入を促す取引 |
訪問購入 | 自宅訪問による買取 |
この中で、マーケティング施策と最も関係が深いのが通信販売です。以下のような施策はすべて対象となる可能性があります。
キャンペーンLPからの購入・申し込み受付
メールマガジン経由での商品販売
SNS投稿からの商品購入誘導
購入者特典としてのデジタルギフト付きプロモーション
特定商取引法についてもっと詳しく知りたい方は、以下のページも参考にしてください。
特商法で押さえるべき4つのルール
企業の販促やキャンペーン企画において、「通信販売」に該当する施策を行う場合、特商法が定める重要な4つのルールを必ず守らなければなりません。実務で特に注意すべきポイントを整理します。
ルール1: 広告表示時に必須の情報を明示する(法第11条)
消費者がインターネットの画面を見て、安心して申し込みを判断できるように、特商法(第11条)では広告内に必ず表示しなければならない項目を定めています。主な必須項目は以下の通りです。
販売価格、またはサービスの対価
代金の支払方法、および支払時期
商品が引き渡される時期、またはサービスが提供される時期
返品や交換に関する条件(特約がある場合はその内容)
事業者の氏名(または名称)、住所、電話番号
SNSで商品を宣伝するため商品販売用のWebページへのURLリンクを記載し、その遷移先ページ内で必須項目の情報を消費者が購入前に確認できるよう設計する必要があります。
また、商品購入を条件としてデジタルギフトを付与するキャンペーンを行う場合、デジタルギフトの付与条件などの情報の不足(たとえば申込画面のわかりづらい場所に記載することや商品購入後のメールで初めて通知すること)がないようにしなければなりません。
ルール2: 虚偽説明・誇大広告を禁止する(法第12条)
特商法(第12条)では、商品の品質や性能、あるいは価格やキャンペーンの条件について、事実と異なる大げさな表現(誇大広告)や、消費者を騙すような嘘の案内(虚偽説明)を厳しく禁止しています。
マーケティングの現場で使われがちな、以下のような表現は特に注意が必要です。
条件があるにもかかわらず「必ず当たる」と表記する
実際には在庫がたくさんあるのに「残りわずか」と煽る
根拠が不明確なまま「今だけ限定」と表記し、期間が過ぎても同じ価格や条件で売り続ける
これらは、消費者に「今すぐ申し込まなければ損をする」という誤解を与えかねないため、不適切な表現とみなされます。デジタルギフトを使った全員プレゼントの施策であっても、実際には「先着1,000名様まで」といった上限や条件があるならば、それを小さく目立たない場所に書くのではなく、誰でも誤解なく気付けるように分かりやすく明記しなければなりません。
ルール3: 契約内容を明確に伝える(法第12条の6)
消費者が注文確定ボタンを押す「最終確認画面」において、取引内容を正しく確認できる状態にしなければなりません(法第12条の6)。
最終確認画面の内容を消費者が後から確認できるよう、登録されたメールアドレス宛に以下のような事項を記載した「購入完了メール」「応募完了通知」を送信することが多いです。
申込内容(購入した商品・サービスの種類や数量など)
商品の引渡時期・サービス提供時期
ルール4: 返品・キャンセル条件を明示する
インターネットを通じた通信販売には、お店で直接勧誘されて契約した場合などに適用される「クーリング・オフ(無条件での契約解除)」の制度が法律上、原則として適用されません。その代わりとして、特商法では「返品に関する条件」をあらかじめ明確に表示しておくことを義務付けています。
具体的には、以下の内容を消費者が一目で理解できる場所に分かりやすく提示する必要があります。
返品やキャンセルができるのか、できないのか
返品ができる場合の期間や条件
返品にかかる送料や手数料はどちらが負担するのか
もし、画面上に返品に関する条件を一切記載していなかった場合、特商法の規定により、商品を受け取ってから8日間以内であれば、消費者は送料を自己負担することで自由に返品(契約の解除)ができてしまうことになります。企業側の意図しないトラブルを防ぐためにも、「商品の返品・交換は不可」といった条件を、事前にしっかりと決めて明記しておく必要があります。
BtoCのキャンペーン・販促施策で特商法が問題になるケース
ここからは、企業のマーケティングでよく実施される3つの具体的なキャンペーン事例を挙げながら、どのような点に注意して特商法に対応すべきかを整理します。
ケース1: デジタルギフトを景品とする購入キャンペーン
「キャンペーン期間中に、特設サイトから対象の定期購入サービスを申し込んだ方全員に、コンビニで使える3,000円分のデジタルギフトをプレゼントする」といった施策です。
このケースでは、インターネットの画面(広告)を通じて有料のサービスを申し込んでもらうため、特商法における「通信販売」に該当する可能性が極めて高いといえます。
そのため、申し込みページには事業者情報やサービスの価格だけでなく、特典であるデジタルギフトについての正確な情報もあらかじめ載せておく必要があります。具体的には、「いつ頃に、どのような形でギフトが届くのか(例:申し込み完了の翌月10日頃にメールで送信)」「ギフトの有効期限はいつまでか」「一人あたり何回まで受け取れるのか」といった付与条件や制限を、消費者が購入を決定する前にしっかりと確認できるように明示しなければなりません。
ケース2: SNSキャンペーン(フォロー&応募型)
「自社の公式SNSアカウントをフォローし、指定の投稿をリポスト(拡散)してくれた方の中から、抽選で100名様にデジタルギフトをプレゼントする」という、いわゆるSNS懸賞のケースです。
このような、商品やサービスの購入を条件とせず、お金の支払いも一切発生しない誰でも自由に応募できる懸賞は、原則として特商法の「通信販売」の規制対象にはなりません(この場合は主に「景品表示法」という別の法律のルールに従うことになります)。
ただし、応募の条件として「無料お試しへの登録が必要だが、期間が過ぎると自動的に有料プランへ移行し、料金が発生する」といった仕組みになっている場合や、応募後に有料商品の実質的な販売促進へ強く誘導されるような導線になっている場合は、通信販売としての規制を受ける可能性があります。お金の支払いが発生する可能性がある導線が含まれているかどうかを、企画の段階で確認することが大切です。
景品表示法についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
ケース3: LP・メール経由の期間限定オファー
「メルマガ会員限定で、このメールのリンクから特設ページ(LP)にアクセスして本日中に申し込むと、通常価格の20%オフで商品を購入でき、さらに全員に電子マネーギフトをプレゼントする」という施策です。
こちらもインターネットとメールを組み合わせた典型的な「通信販売」にあたります。
「本日中」「20%オフ」といった強い表現を使うことで、消費者の申し込みを促す効果がありますが、特商法上のトラブルを防ぐためには条件を極めてシンプルに分かりやすく伝える必要があります。
例えば、「20%オフが適用されるのは定期コースの初回分のみで、2回目以降は通常価格になる」といった重要な例外や制限がある場合は、価格表示のすぐ近くに分かりやすい大きさの文字で明記しなければなりません。また、特典の電子マネーギフトについても、受取方法や期限などの条件をLP内に漏れなく記載し、強い表現に対してしっかりとした事実の裏付けと説明を用意しておくことが義務付けられます。
まとめ|わかりやすい表示設計がそのまま法令対応になる
今回は、特定商取引法(特商法)の基本的な概要と、法人のキャンペーンや販促活動における注意点について解説しました。
特商法は、決して企業の手足を縛るための意地悪な法律ではありません。その本質は、「消費者が勘違いや誤解をすることなく、安心して正しい判断ができるように情報を正しく伝えよう」という、誠実な情報開示のルールです。
特にデジタルギフトを活用した販促施策では、「条件の組み合わせが複雑になる」「ギフトの受け取りが数週間後など後ろ倒しになる」「引き換え期限が設定されている」といった特性があるため、事前の説明が不足していると、消費者の期待値とのズレが生まれやすく、クレームやトラブルに発展する原因になります。
企画を形にする際は、常に消費者の視点に立ち、
この画面を見て、何か誤解や勘違いが生まれる隙はないか
申し込みボタンを押す前に、必要な条件やリスクをすべて納得して判断できる設計になっているか
という観点でチェックを重ねることが、そのまま特商法への正しい法令対応へとつながります。
最終的なキャンペーンの条件や画面の表記内容については、各企業の法務部門やコンプライアンスを管理する専門の部署ともしっかり相談しながら、ルールに則った安心・安全なプロモーション活動を推進していきましょう。
<参考文献>
消費者庁, 特定商取引法ガイド,
https://www.no-trouble.caa.go.jp/
消費者庁, 特定商取引法とは,
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specified_commercial_transactions/
経済産業省, 特定商取引法(不公正な取引方法の禁止),
https://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/consumer/
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