ES向上を成果につなげる方法|施策設計と活用事例

「従業員満足度(ES)を向上させたいが、何から手をつければよいのかわからない」「施策を実施しても効果が見えにくい」
そんな課題を抱える法人担当者の方は多いのではないでしょうか。
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)」によると、2025年4月時点で正社員の人手不足を感じている企業は51.4%と半数を超える結果に。人材獲得競争が激化する今、採用だけでなく「今いる従業員に長く活躍してもらうこと」が、企業の重要なテーマとなっています。
ES向上施策は、単に「満足度を上げる取り組み」ではありません。従業員が働きがいを感じ、能力を発揮できる環境を整えることは、生産性や顧客満足度の向上にもつながるといわれています。結果として、企業の持続的な成長を支える基盤づくりにもなります。
本記事では、ES向上が注目される背景から、具体的な施策カテゴリ、効果測定の方法までを体系的に解説します。あわせて、社内表彰や福利厚生などで活用が広がっているデジタルギフトの事例も紹介し、実務に落とし込みやすいヒントをお届けします。
ES向上施策の実現でお困りのご担当者様へ
こんなお悩みはありませんか? ・福利厚生の運用負担を減らしながら従業員満足度を高めたい ・社内表彰や永年勤続表彰のギフト選びに工数がかかっている ・従業員が実際に喜ぶ施策設計の事例を知りたい
本記事でお伝えした社内表彰、永年勤続表彰、ポイント制度といった各施策は、どれも継続しやすい設計が成果のカギになります。特に福利厚生は「制度の価値」よりも「続けられるかどうか」によって、組織文化への影響は大きく変わります。
当サイトで無料配布している『従業員向けギフトソリューション』には、アナログな運用負担を減らしながら従業員満足度を高めるための企業事例と、導入時のポイントをまとめています。(社内表彰制度の見直し、永年勤続表彰の効率化、ポイント制度の設計など)
ES向上施策の実務に必要な情報が知りたい方は、ぜひお手元にダウンロードしてご活用ください。
ES向上が経営に影響する理由|人材定着から業績向上まで

ES向上に取り組むにあたって、まず押さえておきたいのが「なぜ今、ESが重要なのか」という視点です。
理由1: 人材獲得競争の激化と離職コストの増大
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)」によれば、2024年度に人手不足が原因で倒産してしまうケースが350件と過去最多を更新しました。
採用活動には広告費や人件費、育成コストなど多くの時間とリソースがかかります。さらに、早期離職が発生すれば、再び採用活動を行う必要があり、組織への影響も小さくありません。
ES向上に取り組むことは、離職を防ぎ、組織の安定性を高めるという観点からも意味のある施策といえるでしょう。
理由2: ES向上が業績に直結するメカニズム
ESと業績の関係については、さまざまな調査や研究で関連性が指摘されています。従業員の満足度が高い組織では、生産性や顧客満足度が高まる傾向があるといわれています。
その背景には「従業員の満足度向上 → パフォーマンス向上 → 顧客満足度向上 → 業績向上」という好循環があります。従業員が安心して働き、自分の仕事に意義を感じられる環境では、自発的な行動やチームワークも生まれやすくなります。
法人として取り組むべき理由は「持続的な成長基盤の構築」にある
厚生労働省の「『令和6年度働く人のワークエンゲージメントの向上に向けた支援事業』企業アンケート調査報告書」 によると、働きがい向上につながる何らかの取り組みを行っている企業(n=2,341)に対し、その結果起こった職場の変化として、「従業員の定着率の向上(32.7%)」「従業員同士のチームワークの強化(31.8%)」「従業員の仕事への意欲の向上(29.9%)」「従業員の仕事の効率の向上(28.3%)」などがあったと報告されています。
近年は人的資本経営の観点からも、従業員エンゲージメントやESが注目されています。従業員が安心して働き、力を発揮できる環境を整えることは、企業の信頼性や持続性を高める取り組みともいえるでしょう。
ES向上の7つのアプローチ|自社の課題から優先度を判定する
ES向上施策にはさまざまなアプローチがあります。すべてを同時に実施する必要はありません。自社の現状を診断した上で、優先度の高い領域から検討することが現実的です。
以下の7つのアプローチを「即効性」と「効果の大きさ」で分類すると、優先度が見えてきます。
Phase 1(最初の3か月):土台となる施策から始める
このフェーズは「欠けている基本」を埋める段階です。いくら福利厚生を充実させても、基本が欠けていれば効果は期待しにくいです。
ワークライフバランスの推進
労働時間や休暇取得のしやすさは「衛生要因」と呼ばれ、ES向上の土台になります。長時間労働が常態化している場合、他の施策を実施しても十分な効果を得にくいです。
診断:「月平均残業時間が30時間以上」「有給休暇の取得率が50%未満」なら、これが最優先です。
具体的施策:フレックスタイム制度、リモートワーク制度、有給休暇取得の促進など、働き方の選択肢を広げる取り組み。
公正な評価制度の構築
「自分の仕事が正当に評価されている」と従業員が感じられるかどうかは、ESに大きく影響します。評価基準が不明確だったり、上司によって評価がばらついたりする状態では、不満の原因になりやすくなります。
診断:「評価基準が不明確」「上司によって評価が異なると感じる従業員が多い」なら、評価制度の見直しは優先度が高い。
具体的施策:評価基準の明文化、評価者研修の実施、360度評価やピアレビューの導入。
Phase 2(3か月以降):組織の仕組みを整える
土台ができた後は「組織としての仕組み」を整える段階です。
企業理念・ビジョンの浸透
従業員が「何のために働いているのか」「自社がどこに向かっているのか」を理解し、共感できているかどうかは、モチベーションに大きく影響します。
診断:「理念が掲示されているが、従業員が意識していない」「経営層と現場の方向性がズレている」なら、浸透施策から始める必要があります。
具体的施策:経営層からの定期的なメッセージ発信、理念に基づいた行動を評価する制度設計、新入社員研修での理念教育。
社内コミュニケーションの活性化
上司・部下間、部署間のコミュニケーションが円滑かどうかは、従業員の心理的安全性や帰属意識に影響します。特にリモートワークが普及した現在、意図的にコミュニケーション機会を設ける重要性が高まっています。
診断:「リモートワークで部署内の相互理解が下がった」「1on1が実施されていない」なら、コミュニケーション活性化が必要。
具体的施策:1on1ミーティングの定例化、チャットツールの活用、部署横断プロジェクトの推進。
Phase 3(6か月以降):従業員体験を豊かにする
土台と仕組みができた後は、福利厚生やインセンティブで「従業員体験」を豊かにする段階です。
適材適所の人材配置
従業員が自身の強みや志向に合ったポジションで働けているかどうかも、満足度を左右します。スキルやキャリア志向と業務内容が合わない状態が続くと、ストレスや離職につながる可能性があります。
診断:「希望職種と異なる配置をされている人が多い」「キャリア面談が実施されていない」なら、配置・キャリア施策が必要。
具体的施策:定期的なキャリア面談の実施、社内公募制度の導入、ジョブローテーションの仕組み化。
福利厚生・報酬制度の充実
福利厚生は「あって当たり前」と受け取られがちですが、内容が従業員のニーズと合っていない場合、不満要因にもなり得ます。近年は働き方やライフスタイルの多様化に伴い、画一的な制度では満足度を高めにくい傾向にあります。
診断:「福利厚生があるが、使っている人が限定的」「従業員のライフスタイルが多様化している」なら、制度の見直しが必要。
具体的施策:選択型の福利厚生(カフェテリアプラン)、少額から活用できるインセンティブ制度、デジタルギフトの活用。
職場環境・設備の改善
オフィス環境や業務設備の充実度も、日々の働きやすさに直結します。リモートワーク環境の整備や休憩スペースの改善など、小さな取り組みでも従業員の体感は大きく変わります。
診断:「オフィスが老朽化している」「在宅勤務環境の設備サポートが不足している」なら、環境改善が必要。
具体的施策:オフィスリノベーション、リモートワーク手当、在宅勤務用機材の支給。
複数施策を並列で実施する場合の優先度判定
実際には、Phase 1と Phase 2を並列で進めることが現実的です。その場合の判定基準は「すぐに改善できるか」と「効果が大きいか」の2軸です。
例えば以下のようなイメージです。
「有給休暇取得率が低い」なら、制度は既にあるため「社内通知」だけで改善しやすい → 即座に着手
「理念が浸透していない」なら、経営層からのメッセージ発信を開始 → 3か月で効果測定
「評価基準が不明確」なら、基準を文書化して全社説明 → 1か月で実装
すべてのカテゴリに一度に取り組む必要はありません。ES調査などで自社の課題を把握した上で、優先順位を定め、段階的に取り組んでいくことが現実的な進め方です。
施策の効果を測るには
ES向上施策は実施して終わりではなく、その効果を継続的に検証していくことが重要です。取り組みが実際に従業員の体験や組織の状態にどのような変化をもたらしているのかを把握することで、施策の改善や優先順位の見直しにつなげることができます。
効果測定においては、複数の指標を組み合わせて確認することがポイントです。
主な測定指標の例
- 従業員満足度(定期的なES調査)
- 離職率の変化
- 有給休暇取得率の推移
- eNPS(Employee Net Promoter Score)のスコア
- 部門別の生産性や業績指標
これらの指標を定点観測することで、施策の影響を多角的に捉えることができます。
特に重要なのが、施策実施前のベースラインを把握しておくことです。たとえば、施策前:ESスコア60 → 施策後6か月:75といった形で変化を可視化することで、取り組みの有効性を社内で共有しやすくなります。
ES向上は短期間で大きく変化するものではないため、一定期間ごとに振り返りを行いながら、継続的に改善していく姿勢が求められます。
デジタルギフトが活躍するES向上シーン
7つのアプローチのうち、デジタルギフトが活躍するのは主に「社内表彰」「永年勤続表彰」「ポイント制度」の3つです。
社内表彰・インセンティブ制度
営業成績やプロジェクト貢献、業務改善提案などを称える社内表彰制度は、動機付け要因として有効です。デジタルギフトを活用すれば、成果が出たタイミングで即時に付与でき「評価された」という実感をタイムリーに届けられます。
特に、少額でも複数回付与する設計にすることで、年1回の大きな表彰だけでなく、日常的な称賛文化の醸成にもつなげやすくなります。
▼社内表彰やインセンティブ制度についてもっと詳しく知りたい方はこちら
永年勤続表彰
永年勤続表彰は、企業から従業員への感謝を伝える重要な機会です。デジタルギフトを活用すれば、対象者ごとに個別配布がしやすく、全国拠点やリモートワーク環境下でもスムーズに運用できます。
▼永年勤続表彰についてもっと詳しく知りたい方はこちら
福利厚生ポイント制度
健康経営や自己啓発支援などと連動させたポイント制度にも、デジタルギフトは活用できます。例えば「健康診断の受診」「社内研修への参加」「業務改善提案の提出」などにポイントを付与し、一定数が貯まったらギフトと交換できる仕組みです。
デジタル形式であれば、ポイント管理や交換手続きもオンラインで完結しやすく、運用負担を抑えながら制度を継続できます。
ES向上施策の成功事例
ES向上に取り組んだ企業の事例から共通点を見ると「土台から仕組みへ」という順序を守っている点が挙げられます。
社内表彰制度を刷新し、少額表彰の活性化につなげた事例
日本生命保険相互会社では、全国約4万1,000名の営業職員を対象に表彰制度を運用しています。従来は物理的なカタログギフトを景品としていましたが、物流費の高騰や景品のマンネリ化、少額賞の辞退率上昇といった課題を抱えていました。
特に課題となっていたのが「少額賞の価値の伝わりにくさ」です。送料がかかるため、少額の賞品では辞退が発生するケースもありました。
デジタルギフトを導入したことで、送料負担がなくなり、少額でも選択肢のある形式で提供できるようになりました。その結果、少額の賞品受け取りの辞退率が改善。表彰の機会を増やしやすくなり、日常的な称賛文化の醸成にもつながっています。
▼この事例の詳細はこちら
永年勤続表彰の運用効率化と満足度向上を両立した事例
大和証券株式会社では、勤続20年目と30年目の社員に対し「勤続感謝休暇」とあわせてギフトを贈呈する制度を設けています。
従来は紙のカタログギフトを採用していましたが、申し込み確認を電話で行う必要があるなど、事務処理の負担が課題となっていました。また、申込者情報の管理にも手間がかかっていました。
デジタルギフトへ切り替えたことで、社員番号に紐づけた管理が可能となり、事務工数が大幅に削減されました。ペーパーレス化も進み、運用面の効率化が実現しています。
さらに、社員が自分で使い道を選べる形式に変わったことで、受け取り体験の満足度も向上。企業からの感謝を、より前向きに受け取ってもらいやすくなりました。
▼この事例の詳細はこちら
両事例に共通しているのは「制度の価値」を高めるだけでなく「運用を続けやすくする設計」が成果につながっている点です。ES向上施策は、継続できてこそ効果を発揮します。
まとめ|ES向上は「大きな制度」より「続けられる仕組み」から
ES向上施策というと、大規模な制度改革や抜本的な組織変革を思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、日々の小さな評価や感謝の積み重ねが、従業員の体験を大きく左右します。
重要なのは、単発で終わらせないこと。制度をつくることよりも「続けられる設計」にすることが成果につながります。
7つのアプローチを「すべてやる」のではなく、自社の課題に応じて「優先度を決めて段階的に進める」というアプローチが、実装の鍵になります。
まずはES調査を実施して「今、自社に欠けているのは何か」を診断することから始めてみてください。その上で、このセクションで示した「Phase 1 → Phase 2 → Phase 3」の順序を意識して、段階的に取り組んでいくことをお勧めします。
よくある質問(FAQ)
ここでは従業員エンゲージメント施策を考えるうえで、企業の担当者が抱えやすい疑問をFAQ形式でまとめました。企画の参考になりますので、お役立てください。
Q.ES調査を実施する場合、どんな形式が実務的ですか?
まずは短時間で回答できるパルスサーベイ(5〜10問程度)から始めるのが実務的です。月次や四半期ごとに実施することで、組織のコンディション変化をタイムリーに把握できます。そのうえで、年1〜2回は設問数を増やした本格的なES調査を実施し、課題の深掘りや部門別の傾向分析を行うと効果的です。
また、回答率と本音の担保の観点からは、匿名性の確保が重要です。社内ツールや外部サービスを活用し、安心して回答できる環境を整えることで、より精度の高いデータ取得につながります。
Q.ES向上施策の効果が出るまで、どのくらい期間が必要ですか?
施策の種類によって、効果が現れるまでの期間は異なります。
労働環境の改善や評価制度の見直しなどは、比較的早く(1〜3か月程度)初期変化が見られることがあります
理念浸透やコミュニケーション施策は、3〜6か月程度かけて徐々に組織へ浸透していきます
福利厚生やインセンティブ施策は、利用の定着や満足度の変化が現れるまでに6か月以上かかるケースもあります
ただし、ESは短期間で大きく変化するものではありません。重要なのは、施策と同時に測定を始め、小さな変化を捉えながら改善を繰り返していくことです。単発で終わらせるのではなく、継続的にチューニングしていく前提で設計することが、最終的な成果につながります。
Q.少額のデジタルギフトでもES向上に効果はありますか?
あります。重要なのは金額の大きさではなく、タイミングと頻度です。
たとえば、日常的な感謝や小さな成果に対してタイムリーに付与することで「見てもらえている」「評価されている」という実感を生みやすくなります。
年1回の高額な表彰だけでなく、少額でも継続的に付与する設計のほうが、行動変容やモチベーション向上につながるケースは少なくありません。
Q.どのような企業にデジタルギフトは向いていますか?
以下のような課題を持つ企業と相性が良い傾向があります。
- 全国拠点
- リモートワーク中心で、物理的な配布が難しい
- 表彰やインセンティブ施策をもっと手軽に運用したい
- 福利厚生の利用率が低く、見直しを検討している
- 従業員のニーズが多様化しており、画一的な制度では対応しきれない
デジタルギフトは配布のしやすさと選択性を両立できるため、運用負担を抑えながら従業員体験を高めたい企業に適しています。
本記事では、以下のページを参考にしています。
ES向上施策の実現でお困りのご担当者様へ
こんなお悩みはありませんか? ・福利厚生の運用負担を減らしながら従業員満足度を高めたい ・社内表彰や永年勤続表彰のギフト選びに工数がかかっている ・従業員が実際に喜ぶ施策設計の事例を知りたい
本記事でお伝えした社内表彰、永年勤続表彰、ポイント制度といった各施策は、どれも継続しやすい設計が成果のカギになります。特に福利厚生は「制度の価値」よりも「続けられるかどうか」によって、組織文化への影響は大きく変わります。
当サイトで無料配布している『従業員向けギフトソリューション』には、アナログな運用負担を減らしながら従業員満足度を高めるための企業事例と、導入時のポイントをまとめています。(社内表彰制度の見直し、永年勤続表彰の効率化、ポイント制度の設計など)
ES向上施策の実務に必要な情報が知りたい方は、ぜひお手元にダウンロードしてご活用ください。












