MIXIが『コトダマン』夏イベントで独自Tシャツを販売 在庫不要のpaintoryのサービスで、多様な顧客ニーズに応える
2018年にリリースしたスマートフォン向けゲームアプリ『共闘ことばRPG コトダマン』(以下、コトダマン)。文字の精霊「コトダマン」を組み合わせて「ことば」を作り、最大4人で協力してステージクリアを目指す人気のRPGです。
『コトダマン』では、毎年夏にゲーム内イベント「ゴッドインジャパン」を開催してきましたが、2024年には「夏ダ祭2024」(読み:なつだまつり)とリニューアルを行いました。さらに、このリニューアルに対しユーザーの方の期待感を高めるため、3パターン・各3色展開のTシャツを制作・販売。イベント終了後も“コトダマンと過ごした夏”を思い出してもらいたい、という思いを込めて、普段着やおしゃれ着として使えるデザインも用意したそうです。
そんな本施策について、担当者である久保瞳さん、持田愛さんにお話をうかがいました。
※本施策はギフティのグループ会社であるpaintoryの支援事例となります。paintoryでは、個人・法人問わず誰もが簡単にプライベート・ブランドを始められるカスタマイズウェア・サービスを展開しています。
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毎年恒例の夏イベントをリニューアル
「夏ダ祭2024」とはどのようなイベントだったのでしょうか。
株式会社MIXI デジタルエンターテインメントオペーレーションズ本部 コトダマン事業部 ファンマーケティンググループ ファンマーケティングチーム チームリーダー 久保瞳さん
久保さん:『コトダマン』が2020年の夏から毎年恒例で実施してきた「ゴッドインジャパン」というイベントを、一新して名付けたのが「夏ダ祭2024」です。
イベント期間は2024年7月13日から8月5日までで、四半期に一度開催していました。ゲームをたくさん遊んでいただくことで、新しい「コトダマン」を集められるだけでなく、ガチャ(ゲーム内では“召喚”)で使用できる『虹のコトダマ』をたくさん獲得できるキャンペーンなどがありました。
『コトダマン』は文字の精霊「コトダマン」を組み合わせて「ことば」を作り、最大4人で協力してステージを攻略する人気のRPG
リニューアルの目的は何だったのでしょうか。
久保さん:「恒例となっているイベントをさらに良くしたい」という気持ちに加え「ユーザーの方に新鮮な体験を届けたい」という思いが、運営チームの意志としてありました。「ゴッドインジャパン」も毎年ご好評いただいておりましたが、長く続くイベントなため、マンネリ化を感じていらっしゃるユーザーの方もいるのではないか、という懸念もありました。そこで、良い意味で期待を裏切り、サプライズをお届けしたいとの思いから、リニューアルに踏み切ることになりました。
株式会社MIXI 経営推進本部 広報部 企業広報グループ兼プロダクトPRグループ 持田愛さん(2024年8月より現部署へ。以前までは久保さんと同じくファンマーケティンググループのPRチームリーダーを務めていた)
持田さん: ただ、変化が加わるということは、「以前のままでも良かったのに」や「イベントの規模が縮小されるのではないか」といった不安をユーザーの方に抱かせてしまうリスクもあります。そうしたリスクを払拭し、期待を高めてもらうために、今回、複数のプロモーション施策を展開したのです。
具体的には、イベントの初報時(6月28日)にはティザー動画を公開。そして、イベント前日(7月12日)には「夏ダ祭2024」のイベント情報を公開する生放送「GODステーション夏ダ祭2024スペシャル!」を配信、そしてHUB渋谷店でのライブビューイングを行いました。
「夏中、ずっと使ってもらいたい」との思いからTシャツに決定
その複数のプロモーション施策の一環としてTシャツの制作・販売があったのですね。どのようなコンセプトのTシャツだったのでしょうか。
久保さん: アツい夏を『コトダマン』と一緒に楽しんでいただくために「夏ダ祭2024」のテーマである「夏」と「祭」のイメージをあしらったTシャツを制作しました。デザインは「浴衣ニューワードVer.」と「メインビジュアルVer.」の2パターン、各3色(ホワイト・ブラック・インディゴ)展開です。なお、後に「ココロver.」も追加制作しました。
今回制作されたTシャツ。「メインビジュアルVer.」(右下)「浴衣ニューワードVer.」(左下)と、後に追加された「ココロVer.」(上)
なぜTシャツを制作しようと思われたのですか。
久保さん: Tシャツが、夏の思い出を形に残すのに最もふさわしいと思ったからです。ギフティさんに相談した時点では「夏の間中、ずっと使ってもらえるもの」や「夏が終わっても『夏ダ祭2024』のことを思い出してもらえるもの」というイメージだけをお伝えしていました。そのため、Tシャツ以外にもウォーターボトルや扇子、うちわ、タオルなども候補には上がっていましたが、Tシャツであれば、夏も終わり、着古したTシャツを手に取って「今年の夏はこれをたくさん着たな」と思ってもらえる⸺そう考えたからです。
制作期間は短いながらも、それでも妥協しない
Tシャツは、上質なアパレルを1着からオンデマンド生産できるpaintoryにて制作させていただきましたが、paintoryを選んでくださった理由を教えてください。
久保さん: 2023年の『コトダマン』5周年で制作した「段位パーカー」でも、paintoryさんには大変お世話になりました。このパーカーは、ゲーム内のやり込み度合いを示す“段位”のエンブレムを刺繍したもので、当時1100段を超えたトップユーザー2名(当時)にこのパーカーをプレゼント。さらに、5周年イベントで販売し、多くの反響をいただきました。
段位パーカーについて相談させていただいた際にも、paintoryさんは納期が迫る中でも、刺繍の色など細かな要望に柔軟に対応してくださり、妥協のない品質で仕上げてくださいました。paintoryさんの情熱と品質の高さは「段位パーカー」で実証済みだったため、今回も迷わずお願いした次第でした。
高い期待を持ってお声がけいただいたのですね。では、今回のTシャツ制作においてはいかがでしたか。
持田さん: 今回もpaintoryさんの対応には感謝しかありません。非常にタイトなスケジュールで、当初はデザイン案やデザイン数も決まっていない状態で相談に乗っていただき、最後まで妥協せず、Tシャツ制作に伴走してくださり、本当に感謝しています。
「大切なIPだからこそ色合いにはこだわりたい」という私たちの思いを理解していただき、色校正にも柔軟に対応していただきました。paintoryさんと密にコミュニケーションを取りながら進められたおかげで、満足のできるTシャツが完成したと思っています。
久保さん: 特に「メインビジュアルVer.」は非常に鮮やかな色が特徴のデザインですが、それを見事に現物のTシャツの上でも再現していただけました。色校正にも対応いただけて「こんなに綺麗に色が出るのか」と感動したのは今でも覚えています。
「先行販売」でイベント前の期待感も醸成
ちなみに、今回は「先行販売」「通常販売」という2パターンの形態をとられたと伺いました。このパターンは元々想定していたわけではなかったそうですね。
久保さん: はい。当初は通常販売(7月12日以降の商品到着)だけを想定していましたが、7月12日のライブビューイングイベントに向けてお客様と一緒に盛り上がりを作りたいと考え、一部はイベント前にお届けできるようにしたいと考えたのです。
持田さん: ですが、情報解禁から商品到着まではかなりの短納期ですし、難しいだろうと思っていたところ、paintoryの担当者の方から「通常は購入から発送まで2週間程度かかりますが、100着限定であれば最短1週間で届けられます」とご提案いただいたのです。そこで、その100着は「先行販売」という形で販売することにしました。
久保さん: 結果的に「先行販売」という形態をとったことで「いち早く商品を手に入れたい」というユーザーの方の期待に応えるだけでなく「先行」というキーワードが特別感を与える効果もあったと思います。特に普段から強くコトダマンを応援してくださっているコアユーザーの方には、その価値を感じていただけたのではないでしょうか。これにより「夏ダ祭2024」のイベント期間中や終了後だけでなく、イベント前からの期待感を高める効果もあったのではないかと考えています。
paintoryは通常のアパレル制作で必要な人的なやり取りを簡略化し、オンラインでデザインデータを入稿すれば1枚から制作できるのが特徴ですが、その点はいかがでしたか。
持田さん: そうですね。スケジュール調整などは担当者の方が非常に丁寧に対応してくださいましたが、paintoryさんの本来のサービスの特徴はセルフでデザインをカスタマイズできる点ですよね。そこは仕組みが整っていて、非常に便利でした。
デザイン入稿時には、ほとんど人を介さず、イラストの大きさや位置を画面上で簡単に調整できるのが良かったです。さらに、仕上がりを確認したい場合には、担当者の方にお願いしてサンプルを出してもらい、それをもとにまた微調整していきました。
paintoryのカスタマイズウェアサービスの画面イメージ。イラストの大きさや位置調整も自由自在。また、paintoryサイト上にオンラインストアを開設することで、すぐに販売を開始できる
今回はさらに、paintoryのサイト上に専用のオンラインストアを開設されましたね。
持田さん: そうですね。paintoryさんのオンラインストアは、お客様が商品を購入する際の導線が非常にシンプルでわかりやすかったため、サイトのURLがあるだけでお客様も購入の仕方で迷うことはないだろう、といった安心感がありましたね。
在庫を抱える必要がないから“冒険”ができる
paintoryのサービス全体を振り返って、特に良かった点を教えてください。
久保さん: 在庫を抱える必要がない点は特に良かったですね。アパレルに対するお客様の好みはさまざまで、デザインだけでなく、色やサイズのニーズも異なります。しかし、販促予算には限りがあるため、なかなか“冒険”ができず、ワンサイズ展開になったり、色のバリエーションが限られてしまったりすることはよくあります。
しかし、例えば私はいつも白を選びますが、絶対に黒しか着ない、という方もいらっしゃるでしょう。そこで、paintoryさんのサービスを利用して、今回はデザインを3種類、色はホワイト・ブラック・インディゴの3色、サイズはXSからXXLまでの6種類を用意しました。これは、在庫を抱える必要がないからこそ実現できたことです。この課題を解決できるのは、本当に素晴らしいことだと思います。
結果として、デザインや色、サイズ全てがほぼ均等に購入され、それぞれに需要があることがわかりましたね。
持田さん: そうですね。デザインに関して補足すると、今回は「キャラクターTシャツのデザイン」と「普段使いしやすいシンプルでおしゃれなデザイン」という全く異なるパターンに対し、実は社内でも「コトダマンらしさを強調するか、普段使いしやすさを重視するか」で意見が分かれていました。ですが、在庫を抱える必要がなかったため、いっそもう全て試してみることに。結果、先ほど久保も申した通り、どのデザインも均等に売れ、ユーザーの方それぞれの欲しいと思う形をお届けできたと思いました。
久保さん: ちなみに、当社には「ユーザーサプライズファースト」という企業理念があります。これは、ユーザーの方に「幸せな驚き」を提供し、楽しんでいただくことを最優先する、ということです。
今回の「夏ダ祭2024」にまつわる施策も、ユーザーの方にこの夏一番の思い出となるようなサプライズや体験を届けたいという思いで企画しました。であればこそ、「夏ダ祭2024」の施策の一環として販売したこのTシャツも、私たちにとっては単なる商品ではなく、“ギフト”をお届けする気持ちで準備したわけです。
ギフトですか。“ギフト”とはどのような意味を持つのでしょうか。
久保さん: ギフトとは「お客様を幸せな驚きで満たすことができる体験そのもの」と我々は解釈しています。
その点、paintoryさんも「ギフトを提供する」という意識を持ってアパレル制作に取り組んでいらっしゃると感じました。特にそのこだわりが表れているのが「タグ」です。なんと『コトダマン』のロゴ入りタグを作っていただいたのです。ここまで細部にこだわり抜かれたものは、社内でも非常に好評でした。
『コトダマン』のロゴが入ったタグ
久保さん: ただ、ここまでこだわると、本来であれば在庫の問題がついて回ります。しかし、それもpaintoryさんのサービスを活用すれば、品質を落とすことなく解決ができました。これはpaintoryさんが単なるノベルティではなく“ギフトを作る”という考えに基づいて取り組んでいらっしゃるからこそ可能なことだと思います。本当に素晴らしいサービスだと感じました。
全身を『コトダマン』でコーディネートしたい
「夏ダ祭2024」のTシャツは、ファンの皆さんからどのような反響がありましたか。
持田さん: ライブビューイングのイベント会場では、先行販売でご購入いただいた方がTシャツを着てご来場され「僕はこれを買いました!」という嬉しいリアクションをいただきました。また、スタッフ全員もTシャツを着用してお客様をお迎えしたことで、先行販売で既に気に入っていただいた方々だけでなく、まだ購入されていない方々からも「かわいい!」「これから買います!」といった声をいただきました。あと、スタッフ全員が同じTシャツを着ることで、一体感が生まれたのも印象的でしたね。
今回のアパレル販売は『コトダマン』のファンコミュニティ活性化にどのように貢献したと思いますか。
久保さん: 今回のTシャツは「夏を楽しんでもらうギフト」というコンセプトのもと、制作しました。なので、多くの方に夏の間中、このTシャツをたくさん着てもらって、着る度に「夏ダ祭2024」の楽しい思い出を振り返ってもらえたら嬉しいですね。皆さんのTシャツがボロボロになるくらい愛用してもらえていると良いなと思います。
持田さん: 私のTシャツはもうだいぶボロボロになっていますよ(笑)。
今後、paintoryで制作してみたいアイテムはありますか。
久保さん: そうですね。例えば、親子で着られるペアルックアイテムを作ってみたいです。『コトダマン』はことば遊びが軸で、教育にも通じるゲームなので、実際に親子で楽しんでいるという声も多いんです。親子でお揃いのアイテムがあったら素敵ですね。
持田さん: 個人的には『コトダマン』のアイテム画像がワンポイント入った靴下を作りたいです(笑)。
久保さん: キャップにシャツ、肌着、靴下……全身を『コトダマン』でコーディネートできたら最高ですね。
最後に、事業の展望を教えてください。
久保さん: 『コトダマン』は2024年10月に6.5周年を迎えました。運営チーム一丸となり、10周年、20周年と長く愛されるゲームを目指し、さらなる進化を遂げられるように引き続き頑張っていきたいと思います。
持田さん: 当社には他にも『モンスターストライク』のように10年以上愛され続けているゲームがあります。そんな“大先輩”たちの背中を追いかけながら『コトダマン』も長く愛され続けるゲームに育てていきたいです。