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2026/05/21

CSRとCSVとは?企業が取り組むべき理由と実践ステップ

csr・csv

企業が社会に貢献することは、もはや義務ではなく、事業成長を支える戦略へと進化しています。近年では、CSR(企業の社会的責任)とCSV(共有価値の創造)という2つの概念が広く知られるようになりました。

一方で、実務の現場では「CSRとCSVの違いが曖昧」「取り組んではいるが、経営成果につながっている実感がない」といった声も少なくありません。特にBtoB企業においては、社会貢献=コストという認識から抜け出せず、施策が単発で終わってしまうケースも見られます。

しかし本来、CSR・CSVは単なる企業イメージ向上施策ではなく、

  • 顧客との関係構築

  • 従業員エンゲージメントの向上

  • 新たな市場機会の創出

といった、事業成果に直結する重要な経営テーマです。

特にCSVの考え方は、社会課題の解決と企業の利益創出を切り分けるのではなく、両者を同時に実現する設計思想にあります。この視点を持つことで、従来はコストとして捉えられていた取り組みが、継続的な価値を生む投資へと変わっていきます。

本記事では、CSRとCSVの基本的な定義や違いを整理したうえで、企業がこれらに取り組むべき背景、具体的な実装パターン、そして現場で活かせる実務視点までを体系的に解説します。

また、デジタルギフトなどのインセンティブ施策を活用した従業員参加の促進や社会貢献活動の定着といった観点にも触れながら、単なる理解にとどまらず、実行に移せるヒントをお届けします。

CSR・CSV・ESGの3つの概念

CSR・CSV・ESGは、いずれも企業と社会の関係性を表す重要なキーワードですが、目的・視点・活用シーンが異なる概念です。この3つを正しく整理することで、自社の取り組みをどのレイヤーで設計すべきかが明確になります。

実務ではこれらが混同されることで、やっているつもりや事業と乖離しているといったズレが生じやすいため、まずは基礎を整理しておきましょう。

1.CSR(Corporate Social Responsibility - 企業の社会的責任)

CSRは、企業活動が社会に与える影響を踏まえ、企業として何を還元すべきかという視点から生まれた考え方です。従来は寄付やボランティアなど、事業とは切り離された形で実施されるケースが一般的でした。

特徴

  • 社内では、広報・総務・人事などが管轄することが多い
  • 年次計画・予算の中で実施される"活動"として扱われる
  • ステークホルダーへの説明責任(レピュテーション管理)の意味合いが強い
  • 単発施策になりやすく、事業KPIと連動しづらい

CSRは"企業の外側に向いた責任"を果たす活動であり、経営戦略とは切り離されやすい構造を持ちます。

2.CSV(Creating Shared Value - 共有価値の創造)

CSVは、CSRの発展形として登場した概念であり、社会貢献をどうビジネスに組み込むかという視点に立っています。社会課題の解決そのものが企業成長につながる設計が特徴です。

特徴

  • 経営企画・事業部門が主体となるケースが多い
  • 商品開発・サービス設計・サプライチェーンなどに組み込まれる
  • 中長期のKPI(売上・市場開拓・顧客獲得など)と連動
  • 継続性が高く、競争優位性の源泉になりやすい

CSVは事業そのものに組み込まれる戦略であり、利益創出と不可分な関係にあります。

3.ESG(Environment・Social・Governance)

ESGはCSRやCSVとは異なり、企業の取り組みそのものではなく、投資家や市場が企業を評価するための指標です。

特徴

  • 上場企業では情報開示(統合報告書など)が求められる
  • 機関投資家が投資判断に活用
  • 「環境(E)」「社会(S)」「ガバナンス(G)」の観点で評価される
  • CSR・CSVの取り組みが、最終的にESG評価へと反映される

ESGは外部からの評価軸であり、CSR・CSVはその評価を高めるための内部活動と捉えると理解しやすくなります。

従来型CSRとCSV型アプローチの違い

CSRとCSVの違いは、一見すると社会貢献かビジネスかという単純な対比に見えますが、本質的な違いは事業との距離と価値の生み方にあります。

従来型CSR(Charity型)

側面

内容

目的

企業の利益から社会への還元

手段

寄付、ボランティア、慈善活動

対象

自社事業と直接関係のない社会課題

評価指標

寄付額、参加人数、活動回数

企業への効果

ブランド向上、企業イメージ改善(主に短期)

デメリット

継続性が低く、景気や経営判断で縮小されやすい

CSRは、企業としての責任を果たすうえで重要な取り組みですが、実務上はコストとして管理される活動になりやすい特徴があります。

例えば、年度ごとに予算が決められ、その範囲内で寄付や社会貢献活動を行うケースでは、どうしても余力があるときに実施する施策になりがちです。その結果、継続性や事業との接続が弱くなり、社内外における価値の最大化が難しくなります。

  • 売上の一定割合を社会団体へ寄付する

  • 社員が休日にボランティア活動へ参加する

  • 災害時に物資や資金を提供する

CSRはやらないリスクを回避する意味では有効ですが、それ単体で競争優位を生む設計にはなりにくいという側面があります。

CSV型アプローチ(Strategic型)

側面

内容

目的

社会課題の解決と企業価値向上の同時実現

手段

事業モデルの再設計、新商品開発、オペレーション改善

対象

自社事業と密接に関連する社会課題

評価指標

社会インパクト+売上・利益などの事業成果

企業への効果

持続的な利益創出、競争力強化、新市場開拓

メリット

経営戦略と一体化し、継続性が高い

CSVの特徴は、社会貢献を活動ではなく、事業設計そのものに組み込む点にあります。

つまり、社会課題を解決すること自体が、新しい顧客の獲得や商品価値の向上、コスト構造の改善につながるように設計されます。

  • 食品メーカーが栄養課題を解決する商品を開発し、新市場を開拓

  • 製造業が環境負荷を下げる工程改善を行い、コスト削減とブランド向上を同時実現

  • 小売業が地域生産者と連携し、安定供給と地域活性化を両立

CSVは取り組むかどうかではなく、どう設計するかが成果を左右する戦略領域です。

CSR・CSV実装が企業に求められる背景

CSR・CSVへの取り組みは、単なるトレンドではなく、企業経営における前提条件の変化によって求められています。

かつては余力のある企業が取り組むものとされていましたが、現在では

  • 対応していないこと自体がリスクになる

  • 競争優位を左右する要素になる

といった位置づけへと変化しています。

背景1:社会課題の複雑化と深刻化

気候変動、資源問題、貧困、教育格差、労働環境など、社会課題は年々複雑化・深刻化しています。これらの課題は、行政だけで解決することが難しくなっており、企業が担う役割そのものが拡張しています。

特に企業は、技術力、資本、人材、サプライチェーンといった資源を持つため、社会課題解決の担い手として期待されやすい立場にあります。「事業活動そのものが社会にどのような影響を与えているか」を問われる機会が増え、事業設計の段階から社会性を考慮する必要性が高まっています。

背景2:ステークホルダー(従業員・顧客・投資家)の価値観の変化

企業を取り巻くステークホルダー(従業員・顧客・取引先など)の意思決定基準が変化しています。

従業員

  • 給与や条件だけでなく、「社会的意義のある仕事か」を重視

  • 企業の姿勢がエンゲージメントや定着率に影響

顧客

  • 環境配慮や社会貢献に取り組む企業の商品・サービスを選択

  • SNSなどを通じて企業姿勢が可視化されやすい

取引先・パートナー

  • サプライチェーン全体での責任が求められる

  • 取引条件として社会的取り組みが評価されるケースも増加

CSR・CSVは広報施策ではなく、採用・営業・アライアンスすべてに影響する経営要素になっています。

背景3:情報開示と評価の高度化(ESGの浸透)

企業活動はこれまで以上に可視化され、外部から評価される時代になっています。

  • 非財務情報(社会・環境への取り組み)の開示が進む

  • ESGの観点で企業が比較・評価される

  • 対応状況が、企業の信頼性や将来性の判断材料になる

これにより、CSR・CSVの取り組みは単なる社内活動ではなく、企業価値を左右する開示対象へと変わりました。取り組みの有無だけでなく、どのような戦略で、どの程度の成果が出ているかまで説明できる状態が求められます。

背景4:競争環境の変化とビジネス機会の拡大

市場が成熟する中で、従来の価格競争や機能競争だけでは差別化が難しくなっています。その中で、社会課題の解決を起点としたビジネスは、新たな競争軸として注目されています。

例えば、

  • 環境配慮型商品による新規顧客の獲得

  • 地域課題解決を通じた新市場の開拓

  • サプライチェーン改善によるコスト構造の最適化

など、社会課題への対応がそのまま事業機会につながるケースが増えています。CSR・CSVは守りの施策ではなく、成長戦略の一部として設計する必要がある領域になっています。

CSV(共有価値の創造)の4つの実装パターン

CSVは概念として理解していても、自社でどう実装するかで止まってしまうケースが多く見られます。実務では、ゼロから新しいモデルを考えるのではなく、既存事業のどこに社会価値を組み込めるかという視点で整理することが重要です。

パターン1:製品・サービスの再設計(社会課題対応型商品開発)

社会課題そのものを起点に、製品・サービスを再設計するアプローチです。

業界

従来型ビジネス

CSV型へのシフト

社会課題

企業効果

食品メーカー

高付加価値商品の開発

栄養課題に対応した低価格・高栄養製品の開発

栄養不足

新市場開拓、ブランド向上

家電メーカー

高機能製品の販売

低電力・低価格設計で新興国向け展開

電力不足、所得格差

顧客層拡大、売上増加

医療関連企業

高価格帯サービス中心

アクセス改善型サービスの提供

医療格差

利用者拡大、社会的信頼向上

社会課題を「新たな顧客ニーズ」として捉えることで、市場そのものを拡張できる可能性があります。

パターン2:バリューチェーン(サプライチェーン)の改善

調達・製造・物流などのプロセスにおいて社会課題を解決するアプローチです。外からは見えにくい領域ですが、コスト・品質・リスクに直結するため、実務インパクトが大きいのが特徴です。

課題

従来型の対応

CSV型への転換

企業効果

農業従事者の低所得

価格交渉でコスト削減

技術支援+長期契約で生産性向上

調達安定、品質向上

労働環境問題

問題発生時の取引停止

改善支援・教育投資

リスク低減、ブランド保護

環境負荷

廃棄・外部処理

再資源化・循環利用

コスト削減、新規事業機会

単なるコスト削減ではなく、"持続可能なコスト構造"を構築できる点が大きな価値です。

パターン3:事業基盤(経営資源)の活用による社会貢献

自社が持つ技術・ネットワーク・人材などを活用して社会課題を解決するアプローチです。

資源

従来型CSR

CSV型への転換

社会課題

企業効果

IT技術

NPOへの寄付

教育プラットフォーム開発

教育格差

新規事業創出

物流網

災害支援

日常的な地域流通支援

地域格差

地域関係強化

人材育成ノウハウ

研修支援

雇用創出プログラム化

就業機会不足

人材確保

既存資源を活かすため、比較的低リスクでCSVに着手できる入口施策として有効です。

パターン4:従業員エンゲージメント施策との連携

社会貢献と従業員施策を組み合わせるアプローチです。CSVの中でも特に取り組みやすく、短期的な効果(社内浸透・参加促進)が見えやすい領域です。

施策

従来型

CSV型への転換

効果

表彰制度

業績評価のみ

社会貢献活動も評価対象に

モチベーション向上

ボランティア

任意参加

事業連動型プロジェクト化

スキル活用、理解促進

福利厚生

一律提供

寄付・社会貢献を選択可能に

参加率向上

社会貢献を"自分ごと化"させることで、企業文化として定着しやすくなるのが大きなメリットです。

従業員の参加を促進する6つのコツ

CSR・CSV施策は、制度や方針を整えるだけでは機能しません。最終的な成果を左右するのは、現場の従業員がどれだけ主体的に関わるかです。

コツ1:経営層のメッセージを"具体化"する

経営層がCSR・CSVの重要性を発信すること自体は前提ですが、それだけでは現場には浸透しません。重要なのは「なぜこのテーマに取り組むのか」と「自社事業との関係」を具体的に示すことです。

具体例

  • 自社の事業と社会課題のつながりを言語化する
  • 取り組む理由を"自分ごと化"できる形で伝える
  • 継続的に発信し、優先度の高さを示す

メッセージは一度出すだけでなく、評価制度・会議・社内広報など複数の接点で繰り返すことで浸透します。

コツ2:参加ハードルを極限まで下げる

良い取り組みであっても、参加の手間が大きいと広がりません。特に業務が忙しい現場では、"すぐできるかどうか"が参加率を大きく左右します。

具体例(設計ポイント)

  • 短時間で参加できるプログラム(例:1時間単位の活動)
  • オンライン参加の選択肢を用意
  • 業務時間内での参加を一部許可
  • 手続き・申請を簡略化

やりたい人がやる設計から、気づいたら参加している状態をつくることが重要です。

コツ3:インセンティブ設計で"最初の一歩"を後押しする

参加を広げるうえで有効なのが、インセンティブ設計です。特に初期フェーズでは、行動のきっかけをつくる仕掛けが重要になります。

具体例

  • 社会貢献活動への参加に対するポイント付与
  • 表彰制度と連動した報酬設計
  • チーム単位での参加促進(部門対抗など)

例えば、活動参加や成果に応じてデジタルギフトを付与することで、参加の心理的ハードルを下げたり、継続的な行動を促したりといった効果が期待できます。

コツ4:可視化によって"参加が評価される状態"をつくる

参加を広げるうえで見落とされがちなのが、見える化です。活動が見えない状態では、評価も共感も生まれません。

具体例

  • 社内ポータルやニュースで活動を共有
  • 参加人数・成果を定期的にレポート
  • 社員のストーリー(参加理由や体験)を発信

単なる数値だけでなく、"人のストーリー"を伝えることで共感が生まれ、参加が連鎖します。

コツ5:評価制度と連動させる

CSR・CSV施策を一時的な活動で終わらせないためには、人事評価との接続が有効です。

具体例

  • 社会貢献活動を評価項目の一部に含める
  • マネジメント評価に推進度を組み込む
  • チーム単位での取り組みを評価する

評価に組み込むことで、"やった方がいいこと"から"やるべきこと"へと位置づけが変わります。

コツ6:福利厚生と連動し"選べる仕組み"にする

一律の施策ではなく、従業員が自分で選べる形にすることで、参加率は大きく変わります。

具体例

  • 福利厚生の選択肢に寄付や社会貢献を含める
  • ポイントを使って社会課題解決に参加できる仕組み
  • 個人の関心領域に応じたプログラム設計

会社がやるCSRから、"従業員が選ぶ社会貢献"へと転換することが重要です。

まとめ

CSR・CSVは、理解することよりも「どこから始めるか」を決めることが重要です。多くの企業が必要性を感じながら動けないのは、最初から完成度を求めてしまうためです。

実務では、小さく始める方がうまくいきます。従業員が参加しやすい施策を設計する、既存の取り組みに社会価値の視点を加える、活動を可視化する、といった一歩でも十分に意味があります。

取り組みを継続させる鍵は、仕組みとして回るかどうかです。参加しやすさ、運用のしやすさ、評価やインセンティブとの連動、という設計ができている企業ほど、CSR・CSVを一過性で終わらせず、組織に定着させています。

まずは無理のない形で、小さく始めることに加えてそこから事業との接点を広げていくことが、CSVにつながる現実的な進め方です。ぜひ本記事の内容を参考に、自社らしいCSR・CSVの取り組みにつなげてみてください。

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