

「文化を着る」仕組み── マネーフォワードのカルチャー表彰を支えるpaintoryのパーカー
組織が拡大する中で、共通の価値観や目指す世界観をどう浸透させていくか──。企業文化の醸成において、多くの企業が直面する課題です。特に部署や国籍、職種の多様化が進むほど、共通の価値観や行動指針を日々の業務に根づかせるには工夫が必要です。 こうした中、グループ従業員数2,500人を超える株式会社マネーフォワードでは、Cultureを浸透させるさまざまな取り組みをしています。そのひとつが、四半期ごとの表彰制度「Culture Hero」です。
社員の価値観と行動を称えるこの取り組みは、どのように設計され、どんな効果を生んでいるのでしょうか。制度運営のご担当であるCorporate Identity推進室 Culture Experience部の渡邉美佳さんに、お話を伺いました。
株式会社マネーフォワード

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全国
急拡大する組織で不可欠なCultureの浸透
まずはマネーフォワード様について教えてください。

Corporate Identity推進室 Culture Experienceグループ 渡邉美佳さん
マネーフォワードは2012年に創業し、お金の見える化サービス「マネーフォワード ME」や、バックオフィスSaaS「マネーフォワード クラウド」など、ITサービスの提供を通じて、個人や法人のお金に関する課題を解決しています。2024年にはグループ全体の従業員数が2,500人を超えました。
所属されている「Culture Experience部」のお仕事内容と、渡邉さんのご担当業務について教えてください。
Culture Experience部は、会社のMVVC(ミッション・ビジョン・バリューズ・カルチャー)の浸透を推進するチームです。社員一人ひとりがMVVCを自分ごととして捉え、日々の行動や意思決定の中で体現できるように取り組んでいます。会社の理念や価値観を単なる言葉で終わらせず、組織全体に息づかせていくことが私たちの役割です。
私はこのチームで、四半期ごとに実施する表彰制度「Culture Hero」の運営や、毎週のオンライン全社朝会の運営、年2回の社員総会や社内イベントのリード役を担当しています。
専門部署を立ち上げるほど、マネーフォワード様は「MVVC」を大切にしているのですね。なぜ重要なのでしょうか。
会社の規模が大きくなると、行動指針が形だけになったり、部署間で分断が生まれたりといった課題が出てきます。そうした中でも一人ひとりが迷わず前に進めるように、私たちは共通の価値観や目指す世界観をMVVCとして明文化し、すべての活動の土台に据えています。
このMVVCは会社から一方的に伝えるものではなく、社員一人ひとりの価値観や行動が積み重なって形作られるものだと考えています。働くみんなで価値観や行動を育てていくことで、持続的で一体感のある組織を目指しています。MVVCを実現するために、日常の業務の中で共有し、育まれている6つの「Culture」を掲げています。
マネーフォワード様では、どのようなCultureを掲げているのでしょうか?

6つのCultureを表すアイコンのデザイン
当社では「Speed」「Professional」「Teamwork」「Respect」「Evolution」「Fun」の6つをCultureとして掲げています。それぞれに意味があり、たとえば「Speed」は、意思決定のスピードを上げ、最速で行動に移してやり遂げること、「Professional」は、絶えず成長し、最高の結果を出すためにプロ意識を持ってやり抜くことを意味しています。
これらのCultureは日常的なコミュニケーションや社内施策にも積極的に活用しています。たとえば、部署を越えた横のつながりを作るためのイベントを企画する際には、「今回は“Teamwork”をテーマにしよう」といった形で軸に据えることがあります。また、縦のコミュニケーションとしては、毎週の朝会で役員の方々にValuesやCultureをテーマにスピーチしてもらうなど、経営層からの発信にもつなげています。
このように、6つのCultureは単なる単語ではなく、価値観を共有し浸透させるための“共通言語”としても重要な役割を果たしています。社員が日々の業務の中で自然と意識できるよう、工夫を重ねながら取り組んでいます。
Cultureを浸透させるうえで重要なポイントは何でしょうか。
社員の耳に自然にキーワードが入ってくる環境を作ることが大切です。さらに「見える形でCultureを表す」ことも重要です。視覚表現を活用し繰り返し伝えることで、日常的に意識できるかたちでも根付いていきます。
企業文化を育てるユニークな制度「Culture Hero」
Cultureを浸透させる施策の中でも「Culture Hero」は特にユニークな制度ですね。どのような制度なのか詳しく教えてください。

「Culture Hero」は2018年から始まった表彰制度で、社員一人ひとりの価値観や行動を“見える化”する仕組みです。 マネーフォワードの全員が大切にしたいSpeed、Professional、Teamwork、Respect、Evolution、Funの6つのCultureを最も体現し、周囲に良い影響を与えた社員を四半期ごとに選び、朝会で表彰しています。
評価の基準は「各Cultureを体現していること」「業績が良好で目標を達成していること」「周囲に好影響を与えていること」の3つです。「Culture Hero」が始まった当初は「Cultureを最も体現しているメンバー」という抽象的な基準でしたが、今では具体例を伴う基準へとアップデートしています。
「Culture Hero」はどのようなプロセスで選ばれるのでしょうか?
まず、メンバーからの推薦でエントリーされます。その後、本部長や役員からの推薦も加わり、最終的に担当役員や本部長がCEOや人事役員に向けてプレゼンをします。役員同士の真剣なディスカッションに私もファシリテーターとして参加していますが、マネーフォワードがCultureをどのように捉えているか、いかに大事にしているか、毎回気づきも多いですね。
「Culture Hero」を受賞するのはどれくらい難しいことなのでしょうか。
「Culture Hero」はグループ企業への出向者も対象となるため、簡単には受賞できない賞です。原則として連続受賞はありませんが、異なるカルチャーを体現した場合に再受賞をした例はあります。
「称えられる」体験を支えるpaintoryのパーカー
「ヒーロー」というネーミングにユーモアを感じます。MVPやリーダーではなく「Culture Hero」と名付けた理由は何ですか。
「ヒーロー」はみんなのために行動し、頼られ、憧れられる存在ですが、「リーダー」だと従わなければならないイメージが強い、という議論がありました。社員をぐいぐいと牽引していく「リーダー」よりも、仲間から称えられる存在のほうがマネーフォワードの社員らしいと考え、この名前に決まりました。
「Culture Hero」を受賞すると副賞があると伺いました。
副賞はCEOの辻との会食、本社に掲載するネームプレート、そしてpaintory製オリジナルパーカーの3点です。ヒーローにはお金ではなく“誇り”を渡したいという想いから、金銭的インセンティブは設けていません。
オリジナルパーカーは副賞としては特にユニークですね。なぜパーカーを選んだのでしょうか。

ヒーローのみなさんにカルチャーの体現者として誇りを持っていただきたい、周りの従業員のお手本にしていただきたい想いも込めて、日常的に着用できるアパレルを副賞に位置付けています。「ヒーロー=マント」というイメージから着想を得て、通年で使えて実用的な“現代のマント”として厚手のパーカーを採用しました。

オリジナルパーカーは2023年のMVVC刷新に合わせてデザインも一新しました。6つのCultureを象徴するアイコンがあしらわれており、パーカーを受け取った人がどのCultureを体現したのかが一目でわかるようになっています。
全社が参加するオンライン朝会で表彰式を行い、上長から受賞理由をコメントした後、本人からもコメントをいただきます。表彰式では、社内チャットが祝福の絵文字であふれ、一体感が生まれます。
受賞者からはどんな声が届いていますか?

「Fun」のCulture Heroに選出された岡本さん(写真左)、「Teamwork」のCulture Heroに選出された齋藤さん(写真右)
「Culture Hero」に贈られるpaintory製のパーカーは、サイズ展開が豊富で、体型や好みに合わせて、誰もが自分に合ったパーカーを選べます。

各ヒーローからさまざまな声が寄せられている
そのほかにも「生地が厚くて重みを感じ、背筋が伸びる」「着心地が良くて誇りを感じる」といった声が寄せられています。
マネーフォワード様では、2018年の「Culture Hero」創設以来、一貫してpaintoryでパーカーをご発注いただいています。サイズ展開以外に決め手となっている点はありますか?
2018年から継続してpaintory様にご依頼をしているのは、品質・対応力・柔軟性のいずれにおいても、信頼できるパートナーだと感じているからです。特に、少量からの発注が可能でありながら、スピーディかつ丁寧にご対応いただける点は、他の選択肢にはない大きな魅力だと感じております。
パーカーは毎回デザインやサイズの組み合わせが異なるため、1着ずつ発注できるのは大きなメリットです。受賞者が毎回異なる「Culture Hero」は、各Cultureのデザインとサイズを組み合わせて1着ずつ発注する必要があります。 paintoryではグラフィックを保存して再利用できるので、毎回入稿し直す必要がない点も助かっています。色の再現性も高く、ブランドイメージを保てているとデザイナーからも好評です。
また、発注サイトの操作性が良く、申し込みが煩雑でない点も良いですね。申し込みから発注まで、すべてオンラインで完結できるため、手間がかかりません。操作しやすいUIで迷うこともなく、毎回スムーズに進められています。
paintoryのカスタマーサポート対応も心強く感じています。請求書の発行といった依頼にも迅速かつ温かく対応してもらえるので助かっており、深く感謝しています。
半期表彰にも活用されるpaintory製Tシャツ
パーカー以外にもpaintoryを使っていただいていると聞きました。

はい、年に2回開催する半期表彰でも、paintoryで製作したTシャツをノミネート者に配布しています。paintoryを利用している理由はパーカーと同じで、以前に入稿した既存デザインを流用できるため、事務的な負担が小さく済むからです。
今後、Cultureの浸透のためにどのような取り組みを考えていますか?
現在、海外拠点でも表彰制度、副賞の作成を進めています。paintoryでは海外発送にも対応していると伺っています。今後、paintoryのオンラインでセルフ注文できる仕組みを活用し、海外拠点でもpaintoryで製作したアパレルやグッズを発注し、現地メンバーが受け取れるオペレーションを構築していきたいと考えています。拠点間の距離を越えて一体感を高め、「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを世界規模で体現したいです。
paintoryさんとは今後、アパレルに限らず、Culture発信の領域においても、共創パートナーとしてご一緒できる機会があれば嬉しく思います!